椎名林檎。
旭日旗に似た旗を振る椎名林檎。サザンオールスターズの件と同様に、ライブでの演出によって時代の空気を反映させている。ポピュラー音楽の聴衆は大多数が大衆であるため、アーティストが意識しようがしまいが音やファッションやライブにその時期の社会の嗜好が現れる。椎名林檎が旗を振り、観客に振らせるのは、椎名林檎が社会の空気を読み取っていて、物議を醸すことを織り込み済みでその空気を具体化しようとしたからと言える。旗のデザインをわざわざ旭日旗に似せているのはその空気に意識的であるからこそであり、旗をステージ上で振ってみせるのは挑発的メッセージだ。椎名林檎は、ステージ上でMCによって反戦を訴えても大して響かないことを知っているし、自分のライブの雰囲気に合わないことが分かっているからこうした演出になる。サザンオールスターズは親しみやすい雰囲気を持っているがゆえに反響が大きくなり、件の後にラジオで弁明をしているが、椎名林檎は一切しないだろうし、する必要もないだろう。
ステージ上で衣装替え。トランスミッタとみられるものが右足に、禁酒法時代のブートレッグのようについており、そのイメージがマリリン・モンローを思わせる。オードリー・ヘプバーンのような白のワンピースからマリリン・モンローのような青のレオタードへの変化はライブ中のイメージ転換と関係しているのか。
ライド。シューゲイザーの重要バンドのひとつだが、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインよりは気負わずに聞ける。
ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ。オアシスの曲も途中に挟み、「ホワットエヴァー」もやっていた。最後の曲はオアシス時代と同様「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」で、ソロになってもこの曲に代わりうる代表曲を出せていないことを自ら示した。
ライブの途中にはノエル・ギャラガーが「デイヴ・グロールって誰」とイギリス人特有のひねくれた発言をしていた。そう言うことがかっこよく見えるためにはノエル・ギャラガーが相当の人気を獲得している大物アーティストでなければならないが、オアシスのノエル・ギャラガーではなくハイ・フライング・バーズのノエル・ギャラガーなら、大物かどうか微妙だ。