フジロックフェスティバルについて

フジロックフェスティバルは毎年7月の後半に新潟県湯沢町の苗場スキー場で開かれる音楽フェスティバルです。サマーソニックとともに、洋楽のアーティストを主体とする代表的フェスティバルです。通常、7月の最終の金、土、日曜日に開催されます。木曜日の夜は前夜祭があり、無料で4、5組のアーティストが見られます。海外のアーティストが中心ですが、日本のアーティストも2~3割出演します。2003年以降、メインのステージは5つ(2015、2016年は4つ)あり、小規模なステージを含めると10か所程度あります。

おおむね午前11時から午後11時くらいまで、それぞれのステージの公演が他のステージに関係なく進行するため、すべてのアーティストを見ることは不可能です。屋根のある「レッドマーキー」以外すべて屋根なしの野外ステージです。

1997年に山梨県の富士山の麓で第1回が開催され、第2回は東京、3回目から現在の苗場スキー場で開かれています。日本では、このフェスティバルをきっかけにポピュラー音楽のフェスティバルブームが始まったとされています。かつて60年代末から70年代初頭にかけてもロックフェスティバルのブームがありましたが、邦楽が中心で、ブームも短期間でした。ジャズやカントリーの世界では、フジロックフェスティバル以前からフェスティバル形式のライブが存在します。フジロックフェスティバルの功績は、洋楽中心のフェスティバルのブームを定着させたことでしょう。

3日間でのべ10万人以上が参加しますが、それだけの参加者が宿泊できる施設、旅館、ホテルが現地にないので、半数程度は会場近くのゴルフ場跡にテントを張ります。トイレや洗面所などは主催者がある程度準備していますが、風呂は数カ所しかないので長時間行列に並ぶことになります。風呂のみ有料で提供している旅館もあるので、徒歩数十分で行くこともできます。

概ね毎年1月1日に公式サイト上で「開催するかどうか」が発表されます。3月1日ごろに最初の出演アーティストが発表されます。

チケットは3日通し券で約4万円です。資金に乏しい学生には安いとは言えず、参加者の多くは社会人です。

寛容さと敬意の獲得がポイント

フェスティバル形式のイベントでは、聞こうとしなくても自分の知らないジャンルの音楽に接することができるため、音楽的経験の幅が大きく広がります。この点は、参加する前から予想がつくことです。しかし、参加して初めて分かる良さもあります。

参加してみて実感することは、他のジャンルに対して寛容になれることです。フジロックフェスティバルの場合、登場するアーティストのジャンルが広いため、興味のないジャンルのアーティストが自分の好きなアーティストよりも後に出てくることがよくあります。一般的に、後から出てくるアーティストの方が位置づけとして格上であるため、ライブも優れています。優れたライブには、好意的評価が多くなります。音楽に対する寛容さの獲得は、音楽を聞く上での態度や敬意に大きく影響を及ぼします。

若いころは、自分の好きなジャンルやアーティストに対する肯定の裏返しとして、他のジャンルやアーティスト、そのファンをけなすことがよくあります。ロックファンがアイドルとそのファンを馬鹿にしたり、洋楽ファンが邦楽アーティストとそのファンを見下したりするのはその典型です。

好きなものを積極的に肯定することは自分自身に対する肯定の意味も含んでいるため、若いときにそうした態度になってしまうことはある程度仕方がないことです。しかし一般社会では、他者の否定によって自己を肯定する人を未熟な人間と見なします。他者の価値観の否定を脱して、自己の社会的役割や位置づけによって自分を肯定できるようになることが人間的成熟、あるいは「大人になること」とされています。社会全体の一部を自分が分業し、その分業の集合体が社会の安定であることを知ると、別の分業で生きている他者を尊重するようになります。これは社会に限らず、音楽産業や音楽そのものでも同じです。他ジャンル、他アーティストのファンを否定する態度から早く脱するに越したことはありません。「音楽の精神年齢が高くなる」と言い換えてもいいかもしれません。

洋楽中心のフジロックには、洋楽を聴いていること自体を自己肯定の要素とする人が多数います。この中のかなりの人が、商業的に成功している邦楽アーティストのファンに対して、盲目的だとか視野が狭いといった定型的見方をしがちです。なぜそのアーティストが大きな人気を獲得するのかを実際にライブで確認するのもひとつの見方でしょう。

社会人の方は休める努力をしよう

社会人の場合、フジロックフェスティバル期間中に休暇がとれるかどうかが重要です。通常、フジロックフェスティバルの1、2週間後にロックインジャパンフェスティバル、3週間後にサマーソニックが開催されるため、夏休み中の週末を2度、あるいは3度休めるかどうか、他の社員、職員との信頼関係や職務の融通によって変わってきます。

公務員の場合、3年ごとに「参議院議員選挙」が7月最終週、もしくはその前の日曜日に来ます。選挙対応は「職務」、フジロックフェスティバルは「余暇」(遊び)であるため、遊びのために職務を犠牲にすることははばかられます。投開票作業は職員総出になることが多いため、雰囲気的にも休みにくくなります。週末に確実に休めるよう、日ごろから努力しておくとよいでしょう。ほかの日の大きなイベントを引き受けて「貸し」をつくっておくのも手です。