2003年。2001年のEP盤の5曲と2002年のシングル盤の3曲を収録した日本独自の企画盤。ホワイト・ストライプスの曲をカバーしているかのようなサウンド。ギターの音の厚みがベースの代役を果たすこともあるが、ベースの存在を前提とした曲を作っているわけではない。女性のボーカルはホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトに近い歌い方だ。「ミステリー・ガール」はバディ・ホリーの「ペギー・スー」とエディ・コクランの「カモン・エブリバディ」を足したような曲。「アワ・タイム」はルー・リードがいるころのヴェルヴェット・アンダーグラウンドを思い出させる。
2003年。ギターとドラムを基本にしながら、若干のギター、ベース、キーボードを加える。ボーカルのカレン・Oは女性では珍しく抑制しない奔放な歌い方をする。純粋にギターとドラムだけというわけではないので、EP盤のような生々しさや緊張感はやや薄れているが、ボーカルの生々しさは替わらない。10曲のうち1分台が2曲、2分台が4曲と短い。
2006年。ギターやキーボードを多重録音し、3人では再現できない演奏になっている。ボーカルはキーボード、ドラムはギターも一部担当する。ギターとドラムだけで演奏するという制限にこだわらず、主にギター、ドラム、キーボードで通常のロックバンドと同じような音を構成する。ベースもキーボードで代用させる曲が多い。そうなれば、このバンドの個性はボーカルに集まることになる。カレン・Oの表現力は広がっており、抑制されたボーカルから制御しない絶叫まで聞くことができる。11曲のうち3分台が5曲、4分台が3曲と長くなった。
2009年。ギターがキーボード、ベース、ドラムマシーンを担当し、ボーカル、ドラムは専任となった。サウンドが大きく変わり、シンセサイザーとエレキドラムを多用する2000年代風のロックとなっている。角の立ったギターは後退している。「スケルトンズ」「ランナウェイ」はドラマチックと呼べる編曲で、これまでになかった雰囲気の曲だ。デビュー時からの変化の大きさを考えると見事だと言えるが、このアルバムがデビュー盤だとしても、女性ボーカルのアート志向シンセサイザーロックとして、高く評価されただろう。「ヘッズ・ウィル・ロール」はダンスを呼び掛ける。
2013年。