2015年。若い女性ボーカルの神秘性を生かしたオルタナティブロックバンド。ボーカル、ギター、ベース、ドラムの全員がシンセサイザー、プログラミングを使い、ボーカルとドラムはキーボードも使うが、基本はギターを中心とするバンドサウンドだ。楽器音の編集は多用する。ボーカルやギターの音の奥行きは深い。「ターン・トゥ・ダスト」「ソーピー・ウォーター」はプログラミングされたリズムを使う。1990年代のオルタナティブロック、グランジを通過したメンバーが、2000年代以降の電子楽器にも関心を広げた「ユア・ラヴズ・ホール」から「シルク」までは女性ボーカルの清新さを前面に出し、「ジャイアント・ピーチ」では絶叫を伴う。「フリージー」は歌詞にアルバムタイトルが含まれており、バンドのテーマ曲にもなっている。「スワローテイル」はドラムがボーカルをとる。
2017年。メンバー全員がキーボードも演奏し、キーボード専任のゲストも参加している。オープニング曲はシューゲイザーの影響を受けたような曲。「ヤック・フー」はハードコア、「ビューティフリー・アンコンヴェンショナル」はポップなロック、「ドント・デリート・ザ・キッシズ」はシンセサイザー中心の曲。前半に並んだこの4曲がアルバムの全体像を示す。11曲目まで2~4分台の曲が並ぶが、最後のアルバムタイトル曲は8分を超えている。挑戦と呼ぶほど技巧的ではないが、新しいことをしようという意欲は感じられる。