1993年。オランダ出身。ハードロックというよりはロックやポップスに近い。ギターソロやボーカルはクイーンに影響を受けている。幼少期にスペインに行き来しているということもサウンドに影響を与えている。コーラスの多重録音や完全主義的なサウンド処理が目立つところはクイーンそのものだ。コスモポリタニズムの思想が見える。「テレ」「ナタリー」収録。
1994年。シングル。3曲収録。いずれもアルバム収録曲。CDは8cm。
1994年。シングル。アルバム未収録曲2曲を収録。「イーヴル・イーヴル」はインスト曲。
1994年。クリスマス・ソングを含むミニ・アルバム。「007/美しき獲物たち」はデュラン・デュランのカバー。日本のみ発売。
1996年。スペインやヨーロッパ辺境に対する憧憬と、自然の神秘、雄大さを音で表現したロック。ボーカルの雰囲気は明らかにクイーンのフレディー・マーキュリーとは異なり、曲に溶けている。自己主張するボーカルではない。「アクセプタブル・トゥルース」「ブルー・レイン」はいい曲。アコーディオンの頻出はスペイン在住の影響か。「サンダーボルト」収録。母国オランダで発売されたのはこのアルバムまで。
1996年。シングル。「007/美しき獲物たち」「ジュライ・ジュライ」「シンギング・ザ・スワン」収録。いずれも「ホワイト・アルバム」に収録されている。50分超のインタビューと対訳も収録。
1996年。シングル。「星降る夜のクリスマス」収録。インタビューも収録。
1998年。邦題「III」。ストリングスやホーン・セクションを多用するようになって、サウンドがポップス色を強めた。一般受けするような方向に行ったわけではない。ボーカルは高音部でファルセット気味になり、よくスパークスと比較されていた。日本のみ発売。
2000年。このアルバムから、発売は日本と韓国のみとなった。クイーンへのオマージュと思われる曲が少なくとも2曲あり、そのうちひとつはタイトルが「ファントム・オブ・ジ・オペラ」となっている。もう一曲は「キラー・クイーン」をベースにしている。「ブリュッセル」はパッヘルベルのカノンを使用。
2000年。シングル。
2001年。シングル。
2002年。「コスモス」から「III」にかけてのサウンド。過去の遺産の踏襲という点を最大の特徴としているので、安心はできるが刺激に欠ける。
2003年。アルバムタイトル通り、クイーンの曲をカバーしたアルバム。モット・ザ・フープルの「すべての若き野郎ども」もカバーしている。有名曲では「ボヘミアン・ラプソディー」「ウィ・ウィル・ロック・ユー」「キラー・クイーン」「シアー・ハート・アタック」など。「キラー・クイーン」はバラード調。「ボヘミアン・ラプソディー」は忠実なカバー。最も新しい曲でも77年までなので、80年代以降のクイーンが好きな人は物足りないだろう。
2003年。ドラムは弟が演奏し、ボーカル、ギター、ベース、キーボードはヴァレンシアが演奏している。バンドサウンドを重視して作られたアルバムなので、ギターはハードロックに近い。オープニング曲はホワイトスネイクの「スティル・オブ・ザ・ナイト」を思わせる。「デボラ」もホワイトスネイクの「イズ・ディス・ラブ」を思い出す。
2004年。ミニアルバム。新曲は2曲。アンプラグド(アコースティック)に近い編曲。「ブルー・アルバム」収録曲のインスト・バージョンが2曲、「ガイアII」、「ルナ・ルナ」収録曲の3曲のミックス違いが3曲、クイーンの「テイク・マイ・ブレス・アウェイ」のカバーを収録。新曲のうち「ベリイング・ヘザー」はビートルズの「エリナー・リグビー」の影響が強い。
2010年。シングル盤。ピアノ主体のバラード。2曲目はリズムがエレクトロニクスによるポップス。3曲目はアコースティックギター、一部エレキギターによる曲。3曲ともすべての楽器をヴァレンシアが演奏している。既に流通した段階で発売中止になったため、一部は店頭で発売された。
2014年。「ガイア」「ガイアII」に続くアルバム。このアルバムがヴァレンシアの最終作になるという。曲も「ガイア」「ガイアII」の路線で、編曲のうまさは衰えていない。「ザ・キャビネット・オブ・キュリオシティズ」は「コスモス」収録の「サンダーボルト」を意識した曲。オープニング曲の「テレIII」は多くの人がイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」を思い出すだろうが、曲の後半はデビュー当時のカリヨンを使い、9分半の長大な曲にしている。「セヴン・ウェイズ・トゥ・ビー・ラヴド」はレゲエのリズム。「オランダ」はミートローフの「地獄のロックライダー」のような編曲だ。「ヒア・カムズ・ザ・モラン」はビートルズのような曲だが「ヒア・カムズ・ザ・サン」ではなく「アイ・アム・ザ・ウォーラス」を下敷きにしている。アーティストとしてはこのアルバムで終わるが、職業作曲家、プロデューサーとしての需要はあるのではないか。