1988年。ポップス、ロックバンドとしてのデビュー盤。キーボードを含む5人編成。サウンドの中心はキーボードで、ギターの不協和音を豪快に聞かせるロックではない。一般的な体裁のロックで大きな特徴に乏しい。同時期の他のバンドと比べても苦しいのではないか。日本盤は1997年発売。
1989年。バンド編成でのアルバムはこのアルバムまで。
1993年。テクノ、クラブ・ミュージックのグループとしてのデビュー盤。DJが加入。ベースとドラムによるさまざまなビート、サウンドを繰り返し、何も考えないで楽しめる部分が多い。強い打突音はあまり使わず、ドラムというよりはエレクトロニクスを感じさせるリズムがほとんどだ。包むようなシンセサイザーが全編に使用され、減衰音やエコーで浮遊感を作る。「MMMスカイスクレイパー・アイ・ラヴ・ユー」と「M.E.」は日本語が使われている。日本盤は1996年発売。
1996年。世界的にヒットしたシングル。アンダーワールドの代表曲。「ボーン・スリッピー」は3バージョン収録。8曲で57分。
1996年。邦題「弐番目のタフガキ」。ボーカルの量が減り、インスト部分が増えている。テクノ、クラブ・ミュージックとロックが互いの要素を取り入れるようになり、ロック・ファンからの支持を得るクラブ・ミュージックのアーティストもこのころ出ていたが、このアルバムは逆方向を行っている。オープニング曲は16分、2曲目は15分。それ以降は7分から9分。このアルバムで日本デビュー。
1999年。サウンド全体が鋭くなり、使われる音はどれも角が立っている。これまでで最もはっきりした輪郭を持つ。ロック的なサウンド。ボーカルも増え、多くの音楽ファンにとって親しみやすい内容。アルバムでの代表作。
2000年。ライブ盤。
2001年。シングル盤。再発売。6曲入り。
2002年。DJが抜け2人編成。これまでの3枚から抜粋したようなイメージの曲が並ぶ。したがって、「ボウクー・フィッシュ」のような明快さ、ハードさが全編にあるわけではない。DJが抜けた影響はさほど感じられず、むしろ変化が少ないといえる。音の密度の高い曲やスピーディーな展開の曲はもともと少ないグループで、ダンス音楽の要素を多く求めるのは申し訳ない。これまであった10分以上の曲はなくなり、長くても8分台。1曲あたりも短くなっている。
2003年。2枚組ベスト盤。1枚目の最初の2曲はアンダーワールドを名乗る前に出したシングル盤の曲。
2003年。邦題「ボーン・スリッピー2003」。5曲とも「ボーン・スリッピー」のバージョン違い。
2007年。シングル盤。4曲とも「クロコダイル」のバージョン違い。ラジオエディットバージョンはアルバムバージョンより2分40秒短い3分50秒。リミックスバージョンはボーカルにエコーがかかっていない。
2007年。浮遊感がありながら大衆音楽としてのビートがある。明るい期待を持たないまま何かを見ているような雰囲気で、やや諦観を漂わせる。柔らかいキーボードに、さらにエコーをかけ、ボーカルにも同じ処理をしている。アルバムジャケットが「ダブノーベースウィズマイヘッドマン」に似ており、初期に戻るとの意思を感じる。「トゥ・ヒール」「グラム・バケット」「カドル・バニーvsザ・ケルティック・ヴィレッジズ」の3曲はインスト。
2007年。シングル盤。「ピーチ・ツリー」はアルバム未収録曲。12分半ある。
2010年。クラブ・ミュージックのグループとなってからは初めてジャケットが明るい多色になった。ボーカルの量が多くなり、メロディーとして成り立っている。浮遊感に伴う陶酔や緊張感が減った分、ポップスとして聞ける曲が多くなった。「スクリブル」は明るい。これらの曲に交じって、これまでのヒット曲が組み合わさったライブをやるといいライブになるのではないか。
2011年。ベスト盤。「1992-2012ジ・アンソロジー」と同時に発売し、収録曲も重複しているが、曲の半数はアルバム収録曲とバージョン違いや客演が入った曲になっている。
2011年。ベスト盤。2枚組。これまでの代表曲をアルバム収録曲と同じ形で収録。バージョン違いやシングル盤B面収録曲などを集めたボーナスCD付きの3枚組もある。
2013年。シングル盤。1993年に発売された「レズ」のリミックス版。ダブ風ベースにEDMのようなシンセサイザーとドラムが加わる。
2016年。高い音をあまり使わず、低音を中心としたサウンドになっているため、アルバム全体はそれほど高揚感をもたらさない。しかし、曲が陰鬱なわけではなく、「アイ・エグゼイル」「イフ・ラー」「ロウ・バーン」「ナイロン・ストラング」は後半になるにつれて盛り上がっていく。「サンチアゴ・クアトロ」「モーターホーム」「オヴァ・ノヴァ」はアルバム全体の雰囲気を決定づける。「ロウ・バーン」は跳ねるリズムでダンス音楽らしさがあり、アルバムの前半の聴きどころ。「ナイロン・ストラング」はアルバムの最後らしく、高めの音を使いながら高揚していく。多くの人が引きつけられるダンス音楽があるわけではないが、これまでのアルバムと変わらない質を保っている。