TRIUMVIRAT

  • ドイツのプログレッシブ・ロックバンド。キーボード、ボーカル兼ベース、ドラムの3人。
  • クラシック音楽を取り入れている点もエマーソン・レイク&パーマーと同じだが、古典派、ロマン派の曲を扱うことが多い。
  • 「ア・ラ・カルト」で大きくサウンドを転換、1980年に活動停止。

1
MEDITERRANEAN TALES(ACROSS THE WATERS)

1972年。キーボード、ボーカル兼ベース、ドラムの3人編成。ドイツ出身。オープニング曲は16分超の大作で、イントロとエンディングはモーツァルトの歌劇「後宮からの逃走」の序曲を使用。キーボードはシンセサイザーとオルガン出身。シンセサイザーはいかにも電気的に制御しているような人工的な音。「後宮からの逃走」序曲は有名な曲なので、特に記述がなくても分かるが、それ以外のクラシック音楽らしきメロディーは、その分野に詳しくないと判別できない。「後宮からの逃走」序曲に関しては、モーツァルトとだけ記述されているので、その他のクラシック音楽は使用部分が短いために省略されていると思われる。ボーカル、ベース、ドラムはいずれもエマーソン・レイク&パーマーに劣る。

2
ILLUSIONS ON A DOUBLE DIMPLE

1973年。邦題「二重靨の幻影」。ボーカル兼ベースが交代。A面、B面各1曲で、それぞれ23分超、21分超。オーケストラ、コーラスを導入している。多くの部分はバンド・サウンドで、オーケストラやコーラスは最小限。コーラスは合唱というほど大仰ではなく、ポピュラー音楽のコーラスという感じ。エマーソン・レイク&パーマーの「タルカス」と比較されるのは発売する前から分かっていること。2曲とも6部構成。

3
SPARTACUS

1975年。ローマ帝国時代のスパルタカスの乱を題材にしたコンセプト盤。演奏も曲の展開もこれまでより慣れ、ストリングス風のシンセサイザーとピアノ、オルガンを中心に使う。曲は長くても8分台で、3分台が多い。聞きやすさは以前の2作に比べると圧倒的だ。曲がよい。

4
OLD LOVES DIE HARD

1976年。邦題「愛の神秘」。ボーカル兼ベースが抜け、ボーカルとベースが加入、4人編成。ボーカル部分が少なくなり、大部分がキーボードでメロディー演奏される。「パニック・オン・フィフス・アベニュー」はイーソスのような電子音的シンセサイザーが出てくる。「ザ・ヒストリー・オブ・ミステリー」はパート1、パート2とも、最もエマーソン・レイク&パーマーに近い作風。二者の間にある編曲の差をうち消してしまう。

5
POMPEII/NEW TRIUMVIRAT

1977年。邦題「ポンペイ最後の日」。ベースとドラムが交代。曲がポップになり、前作のような、キーボード演奏を聞かせるというようなサウンドではない。ローマ帝国時代のポンペイ火山の噴火をテーマにしているが、曲は普通のロックに近づいている。「ジャーニー・オブ・ア・フォールン・エンジェル」ではR&B風のトランペット・ソロがある。

6
A LA CARTE

1978年。ベースとドラムが交代、ボーカルも変わっているが、前任者も歌っている。70年代後半のアメリカの流行をすべて取り入れたかのようなサウンド。ディスコもウェスト・コースト・サウンドも出てくる。ホーン・セクションも入る。これを聞いて、もともとエマーソン・レイク&パーマーのようなバンドだったと思う人は誰もいない。「ダーリン」はビーチ・ボーイズのカバー。

7
RUSSIAN ROULETTE

1980年。ベースとドラムが抜け、ボーカルも交代、キーボードとボーカルの2人になった。TOTOのジェフ・ポーカロ、スティーブ・ルカサー、デビッド・ハンゲイトが参加。ほかにも参加アーティスト多数。TOTOのメンバーが参加したといってもTOTOのような曲をやっているわけではない。ポップなロック。スチール・ドラムやマラカスを使う曲はトロピカルな雰囲気だ。