1994年。邦題「トリーネ・レイン」。トリーネ・レインはアメリカ生まれ、ノルウェー育ちの女性歌手。10曲のうち作曲は3曲に参加。他の7曲はカバーなど。高い音程でも安定して声が出る。表現力や雰囲気ではなく、歌唱力が優れているため、作曲しているかどうかはあまり関係がない。「ジャスト・ミスト・ザ・レイン」がヒット。「サマーナイト・マジック」は歌い出しがアバの「ダンシング・クイーン」に似ている。「ソー・ユー・ウィン・アゲイン」はイギリスのファンク・バンド、ホット・チョコレートのカバーで、作曲はアージェントのラス・バラード。「バッド・ニュース・トラヴェルズ・ファスト」はプレイヤーのカバーで、作曲はダンヒル・サウンドで有名なデニス・ランバートとブライアン・ポッター。「ステイ・ウィズ・ミー・ベイビー」はアフリカ系ジャズ・ゴスペル歌手ロレイン・エリソンのカバーで、作曲はジャニス・ジョプリンで有名なジェリー・ラゴヴォイ。原曲は1966年だが、トリーネ・レインが聞いたのはナザレスのボーカル、ダン・マカファーティが1975年に出したソロ・アルバムのカバー・バージョンではないか。そうであればダン・マカファーティ、アバ、ホット・チョコレート、プレイヤーがいずれも70年代後半のアーティストとして説明がつく。
1996年。邦題「そよ風を胸に抱いて」。ボーカルをよく聞かせるサウンドから、曲そのものを聞かせるサウンドに変化している。作曲者にキュアーのフィル・ソーナリーがいる。歌唱力があるにもかかわらず、曲の雰囲気にボーカルを合わせるという、本末転倒が起こっており、焦点がぼやけた内容になっている。13曲のうち4曲でトリーネ・レインが作詞している。「クライ・ベイビー」はジャニス・ジョプリンのカバー。「トーン」はナタリー・インブルーリアがカバーして有名になった曲。
1996年。シングル盤。2曲ともアルバム収録曲。
1998年。コーラスが多くなり、歌い方も多彩になっているが、デビュー盤の伸びるようなボーカルはあまり使わない。「スターズ・アンド・エンジェルズ」はもっとなめらかに歌えるような気がするが、ソウル風に歌い、コーラスのサビに入る。「イフ・オンリー・ユー・クッド・ビー・マイン」「ユー・アー」もソウル風。アルバムを出すたびにアメリカのソウル風になり、デビュー当時の歌唱力を抑制している。
2010年。