2000年。サンはギター2人のグループ。ギター2本でひたすら低音を弾き続け、暗く重い雰囲気を作り上げていく。収録されている4曲はほぼ同じようなサウンドで、それぞれ19分、15分、21分、17分。ボーカル、ドラムは出てこない。メロディーは、一般的な意味ではないと言える。人によっては退屈だろう。再発売された日本盤は1曲25分のライブが収録されたCDがついている。
2000年。前作の路線で、ややリズムらしきものもついている。特に「ラビッツ・リヴェンジ」は定期的にギターの音程が変わり、これに伴うアンサンブルもついている。ただやみくもにギターを弾いているわけではない。再発売された日本盤は1時間のリミックス盤がついている。2曲目はボーカルやガラスが砕ける音が入っている。
2002年。1、2曲目は前作までのサウンドと変わりない。3、4曲目の「O)))バウ1」「O)))バウ2」はノイズ音楽の有名アーティスト、メルツバウが参加し、打楽器的減衰音を不定期にかぶせている。デビュー以来初の大きなサウンド変化だ。「F.W.T.B.T.」はメタリカの「フォー・フーム・ザ・ベル・トールズ」のカバーだというが、そう言われても分からない。曲が短くなり、1曲平均10分程度。日本盤は2007年発売。ボーナスディスクとしてライブ盤がついている。「O)))バウ3」「O)))バウ4」の2曲で各24分。
2003年。3曲収録。1曲目の「マイ・ウォール」は詩の朗読がつく25分の大作。2曲目の「ザ・ゲイツ・オブ・バラード」は明確なギターのリズムとドラムで構成され、サンとしては珍しくリズム中心の曲となっている。日本盤ボーナスディスクは1曲49分のライブと16分のインタビューが収録されている。
2004年。前作と同様3曲。日本盤ボーナスディスクは通常のCDと8cmCDの2枚がついている。いずれもライブ盤。通常のCDには10曲、8cmCDには2曲収録。ライブの曲は、必ずしも低音だけではない。10曲67分はすべてつながっている。
2005年。これまでで最もなじみやすいサウンドだ。なじみやすいと言っても、「親しみやすい」とはとても言えないボーカル(わめき声)が入ったり、曲が適度に短かったり、キーボードを使っていたりするだけだ。この種の音楽は、真面目に聞こうとすればいくらでも抽象的な言葉で解説できるが、エンターテイメントとして聞けば一種のお笑いだ。「ホワイト2」までは曲を聞いても笑える要素はほとんどなかったが、このアルバムでは、そうした聴き方もできる。もちろん「笑える」ことは音楽の段階として上がったということで、嘲笑の意味は全くない。
2008年。サンがペンテンプル名義で録音したライブ盤。22分の「パズズ1」と20分の「パズズ2」の2曲。サンのギター2人のほか、ボーカル、ベース、ボーカル兼ドラムの3人が加わっている。「ブラック・ワン」で聞かれるような、わめき声ともうめき声ともとれるようなボーカル、ディジュリドゥをずっと鳴らしているかのようなベース、高速で叩きまくるドラムが聞ける。
2009年。洋邦の宗教儀式を聞いているような重厚なサウンド。もはやドローン音楽、ノイズなどの形容はあてはまらず、儀式の実況録音や典礼音楽といった方がまだ近い。「アガルタ」は低い声で朗読もしくは独白のようなボーカルがつく。「ビッグ・チャーチ(くりかえし非聖なること能わぬ貴君の為に)」はギターの上に女性コーラスが乗り、声明のような、読経のような男性ボーカルが続く。「アリス」は後半のホーン・セクションが希望を抱かせるメロディーで、サンの曲としては画期的試みだ。