SUM41

サム41はカナダ出身のメロディック・パンクバンド。ボーカル兼ギター、ギター、ベース、ドラムの4人編成。「アンダークラス・ヒーロー」からはギターが抜け3人編成。「13ヴォイシズ」から5人編成。ハードロック、ヘビーメタルを下地に持ったハードなギター、やや哀愁のあるメロディーが日本で好意的に受け入れられている。代表作は「ダズ・ディス・ルック・インフェクテッド?」「チャック」、代表曲は「ファット・リップ」「スティル・ウェイティング」「ウィア・オール・トゥ・ブレイム」など。ボーカル兼ギターはカナダ人女性歌手アヴリル・ラヴィーンと結婚し、すぐ離婚した。

 
HALF HOUR OF POWER

2001年。ボーカル兼ギター2人の4人編成。カナダ出身。ポップなメロディーを持つパンクで、他のバンドに比べてコーラスが気持ちよく響き、勢いがある。11曲で26分あるシングル盤。「地獄への暴走馬車」はヘビーメタルのようなツイン・リードギターが聞ける。「デーヴの呪われた髪/イッツ・ホワット・ウィアー・オール・アバウト」はラップが入り、ほかは通常のボーカル。日本盤は2002年発売。

1
ALL KILLER NO FILLER

2002年。ミドルテンポの曲も入れ、曲の質を上げた。「ファット・リップス」はラップが入っているが、詩はヘビーメタルが好きだったという内容。この曲が大ヒット。「ペイン・フォー・プレジャー」は80年代ヘビーメタルのパロディー。

2
DOES THIS LOOK INFECTED?

2002年。パンクだけでなく、広く一般のロック・ファンにも評価された傑作。ギターの音がハードコアに近くなり、メロディーは哀愁を帯びている曲が多い。このアルバムでパンクでは一線級の人気を獲得した。「ザ・ヘル・ソング」「ミスター・アムステルダム」「スティル・ウェイティング」収録。

DOES THIS LOOK INFECTED TOO?

2003年。5曲入りのライブEP盤。5曲とも「ダズ・ディス・ルック・インフェクテッド?」収録曲。DVDもついている。

3
CHUCK

2004年。明るい曲が減り、多くはマイナー調だ。パンクであることに変わりはないが、かなりまじめな印象を持たれるパンクだ。若さを前面に出した楽しさは薄れている。「ザ・ビター・エンド」はメタリカの「バッテリー」のパロディー。

 
WE'RE ALL TO BLAME

2004年。シングル盤。ライブ2曲は「ダズ・ディス・ルック・インフェクテッド?」の有名曲。

 
HAPPY LIVE SURPRISE

2005年。ライブ盤。ヒット曲はおおむね入っている。4曲目まで「ダズ・ディス・ルック・インフェクテッド?」の曲。「モーロン」は「チャック」に収録されている日本盤ボーナストラックの曲。「アイ・ハヴ・ア・クエスチョン」は曲ではなく曲間のMC。海外では「GO CHUCK YOURSELF」のタイトルで2006年に発売されている。

4
UNDERCLASS HERO

2007年。ギターが抜け3人編成。ヘビーメタルに傾倒していたギターが抜けたので、サウンドの変化が予想されたが、ヘビーメタル風のサウンドは随所に残っている。ボーカルが1人になったので、以前ほどコーラスはない。前作と同様、若さを前面に出した陽気な曲はない。「マ・プベル」はビートルズのような55秒の小曲。「ソー・ロング・グッドバイ」はアコースティック・ギターとストリングスだけで歌われる。「ウィズ・ミー」の一部はアヴリル・ラヴィーンの「ベスト・ダム・シング」にも出てくる。

 
8 YEARS OF BLOOD,SAKE AND TEARS:THE BEST OF SUM 41 2000-2008

2008年。邦題「ザ・ベスト・オブ・SUM41」。「オールウェイズ」は新曲。

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SCREAMING BLOODY MURDER

2011年。GOBのギターが加入し4人編成。ヘビーメタルのような小刻みなギターはそのまま。ただ、「スティル・ウェイティング」のような哀感が漂うメロディーが多く、明るさや楽しさを感じさせる曲は少ない。アヴリル・ラヴィーンの「グッバイ・ララバイ」と同じく、苦しさ、悲しさが出ている。「ダズ・ディス・ルック・インフェクテッド?」のサウンドに戻ってほしいと思っているファンは多いはずだ。

6
13 VOICES

2016年。「ダズ・ディス・ルック・インフェクテッド?」のころのギターが戻り、ギター2人の5人編成。このアルバムから大手レコード会社を離れているので、事前の宣伝がほとんどなかった。「フェイク・マイ・オウン・デス」「ブレイキング・ザ・チェイン」「ウォー」はメロディアスなロックで、「アンダークラス・ヒーロー」以降のサウンドを継承している。「ガッデム・アイム・デッド・アゲイン」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」はヘビーメタルの雰囲気があり、ヘビーメタルの影響を受けたギターが出戻ったことの効果が現れている。「ゴッド・セイヴ・アス・オール(デス・トゥ・ポップ)」「ザ・フォール・アンド・ザ・ライズ」などはピアノとエレクトロニクスを若干使っている。全体として、ヘビーメタルに影響されたサウンドが一部で戻ったものの、メロディック・パンクの雰囲気や曲自体の明るさはなく、2000年代前半の人気を復活させるのは難しい。

7
ORDER IN DECLINE

2019年。ハードロック、ヘビーメタルに傾倒し、メロディック・パンクにあるポップさよりもロックの真面目さが出ている。グリーン・デイやブリンク182はポップさを残しながら曲の内容を社会化しているが、サム41はサウンド自体を内容に合わせている。ヘビーメタルの男性性をパロディーとして笑うことはなくなった。サム41の独自性はその風刺にあったのではないか。「ザ・ニュー・センセーション」はミューズ風。