ストライパーはアメリカのハードロック、ヘビーメタルバンド。4人編成。ボーカルのマイケル・スウィートとドラムのロバート・スウィートは兄弟。80年代はキリスト教、プロテスタントの信奉者であることを前面に出していた。1992年解散、1999年再結成。マイケル・スウィートは歌唱力が高く、2008年にボストンにも加入している。
1984年。邦題「神聖紀」。ボーカルのマイケル・スウィートと、その他のメンバーの実力差が大きい。次作のヒットに伴ってこのアルバムも全米チャートに入った。日本盤はジャケットが異なる。
1985年。キーボードとコーラスを本格的に導入。「ファースト・ラブ」ではコーラスのつけかたがドゥー・ワップ風。アメリカのハードロックでは屈指のコーラスを誇る。最後の曲は南北戦争時の愛国ソングである「リパブリック賛歌」。アメリカの民謡のひとつ。バラードのレベルが高く、ヒット性も十分ある。
1986年。邦題「ヘル・ウィズ・デビル」。100万枚売れた最大のヒット作。「オネストリー」が全米23位。バラードが3曲。当時のアメリカのハードロックでは、W.A.S.P.と正反対の主張をしており、それがロックの面白さでもあった。日本盤はジャケットが異なる。
1988年。邦題「永遠の誓い」。「オールウェイズ・ゼア・フォー・ユー」「アイ・ビリーブ・イン・ユー」がヒット。最初と最後がハードロックで、全体としてはポップな曲とバラードが多い。マイケル・スウィートのボーカルが高く伸びる。
1990年。邦題「無法の掟」。ビジュアル面で大きくイメージを変え、黄色と黒の縞模様は見られない。男臭さを前面に出している。ボーカル、コーラスは美しさよりも力強さ、ギター、ドラムは重さを強調。ホーン・セクション入り「シャイニング・スター」はアース、ウィンド&ファイアのカバー。サウンドもハードロックからロックンロールになり、別バンドになったといってもよい。他のバンドでもできること、あるいは他のバンドがすでにやっていることを改めてストライパーがやる意味はあまり感じられない。
1991年。未発表2曲を含むベスト盤。未発表曲は「アゲインスト・ザ・ロウ」路線。
2003年。新曲2曲を含むベスト盤。現在から過去へさかのぼる曲順になっている。スタジオ録音盤としては7枚目なので「7」というタイトルが付いているが、宗教的意味も含まれているだろう。
2005年。再結成。ベースは交代している。「アゲインスト・ザ・ロウ」の路線で、ギターの音は濁っている。全体的に低いギターの音も、時代に合わせた音なのだろう。コーラスやキーボードも少なく、マイケル・スウィートも高音が出にくくなっている。80年代ではないため、過去のヘビーメタル路線に戻る必要もないが、90年代風のサウンドでは逆に説明を求められるのではないか。「I.G.W.T.」は「イン・ゴッド・ウィ・トラスト」の再録音で、フェードアウトせずに終わる。日本盤のボーナストラックは80年代の曲のライブ。日本盤のジャケットはアメリカ盤と異なる。
2009年。「イン・ゴッド・ウィ・トラスト」以前の雰囲気となり、メロディアスでハードだ。ギターは2人ともリードギター。マイケル・スウィートのボーカルは以前ほど高音を出さないが、声自体の力強さはかつてのままだ。コーラスも厚い。「アライブ」はピアノを使う。80年代のファンが納得するサウンド。「ピース・オブ・マインド」はボストンのカバーで、ボストンのトム・ショルツがギターで参加している。日本盤のジャケットはアメリカ盤と異なる。
2011年。カバー曲集。ベースが交代し、80年代のメンバーが揃った。スウィートの「セット・ミー・フリー」、スコーピオンズの「ブラックアウト」、ブラック・サバスの「ヘブン・アンド・ヘル」、UFOの「ライツ・アウト」、カンサスの「伝承」、ディープ・パープルの「ハイウェイ・スター」、キッスの「狂気の叫び」、オジー・オズボーンの「オーヴァー・ザ・マウンテン」、アイアン・メイデンの「明日なき戦い」、ジューダス・プリーストの「ブレイキング・ザ・ロウ」、ヴァン・ヘイレンの「炎の叫び」、レッド・ツェッペリンの「移民の歌」をカバー。原曲をほぼ忠実にカバーしている。ピアノ、オルガンが含まれている曲もピアノ、オルガンを使う。最後の「ゴッド」はストライパーの新曲。80年代の全盛期を思わせるヘビーメタル。
2013年。「神聖紀」から「ヘル・ウィズ・デビル」までの曲を再録音。「神聖紀」は2曲、「ソルジャー・アンダー・コマンド」は6曲、「ヘル・ウィズ・デビル」は6曲。アルバムの発表順かつ収録順通りに並んでいる。「ブリーディング・フロム・インサイド・アウト」「ブラッケンド」は新曲。ボーナストラックは「ソルジャー・アンダー・コマンド」収録曲の再録音。
2013年。再結成後の最高作。ハードロックではなくヘビーメタルのイメージで制作されている。スコーピオンズやジューダス・プリーストの影響がある。アルバムの後半はハードロックのような厚いコーラスを多用する。「希望の炎」はドゥービー・ブラザーズのカバー。「希望の炎」はもともとゴスペル曲。