THE STONE ROSES

ザ・ストーン・ローゼズは1980年代後半のイギリスの薬物文化を音楽方面で具体化したバンド。イギリスのマンチェスター出身。ハッピー・マンデーズとともに「マッドチェスター」の代表的バンドとされた。ボーカル、ギター、ベース、ドラムの4人編成。解散後、ボーカルのイアン・ブラウン、ギターのジョン・スクワイアはソロデビュー、ベースのマニはプライマル・スクリームのメンバーとなった。代表曲は「フールズ・ゴールド」「アイ・ウォナ・ビー・アドアード」「エレファント・ストーン」。マンチェスターがアシッドハウス(マッドチェスター)の中心地になったのは、マンチェスターが若年層、低所得層の多い大都市であり、80年代に開発された薬物が若年層、低所得層に流行して享楽性の高い音楽が求められたから。

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THE STONE ROSES

1989年。邦題「石と薔薇」。ジャケットのジャクソン・ポロック風の絵画、麻薬文化の重要な単語であるストーンがバンド名に入っていることから、あらかじめサイケデリックなロックンロールを想像できる。実際は60年代後半のザ・バーズ「霧の5次元」のように、なじみやすいメロディー、突出した特徴が少ないサウンド、やや浮遊した雰囲気があり、音としては中庸だ。中庸であることは多数の支持を獲得する重要なポイントだ。麻薬文化のない日本では、過去のサイケデリック・ロックに似ているとか、アルコール摂取時の酩酊状態を参考にしながら、そういうものとして受け入れるしかない。「エレファント・ストーン」は象の鳴き声を模したイントロになっている。「エリザベス・マイ・ディア」は「スカボロー・フェア」のメロディー。

WHAT THE WORLD IS WAITING FOR

1989年。ミニアルバム。6曲収録。タイトル曲と「フールズ・ゴールド」を収録。「エレファント・ストーン」は12インチバージョン。アルバム未収録曲の「ゴーイング・ダウン」はストーン・ローゼズのジャケットによく使われるジャクソン・ポロックが出てくる。日本のみの発売。

SALLY CINNAMON

1991年。シングル盤。1987年に発売された2枚目のシングル盤を再発売。4曲のうち、タイトル曲のシングルバージョン以外は「ザ・コンプリート・ストーン・ローゼズ」に収録されている。

TURNS INTO STONE

1992年。シングル盤等の収録曲で、アルバムに収録されていない曲を集めた企画盤。「フールズ・ゴールド」は10分ある12インチバージョン。「エレファント・ストーン」「ワン・ラヴ」「サムシングス・バーニング」も長い12インチバージョン。

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SECOND COMING

1994年。ブリット・ポップの影響を受け、ボーカルの歌い方やギターの音が変わっている。オープニング曲は本格的に曲が始まるまでに4分半のイントロがある。演奏能力が上がったゆえに曲が単純ではなくなり、長くなった。広く受け入れられる分かりやすさは後退している。「ユア・スター・ウィル・シャイン」はコーラスがよい。「デイブレイク」の後半はオルガンを使う。「ティアーズ」はレッド・ツェッペリンの「天国への階段」を意識したか。

 
LOVE SPREADS

1994年。シングル盤。「ブレイクアウト」はアルバム未収録曲。

THE COMPLETE STONE ROSES

1995年。ベスト盤。

CRIMSON TONIGHT

1995年。ライブ盤。4曲収録。4曲とも曲間はつながっており、1回の公演から選曲されているので、ほとんど編集されていないとみられる。キーボード奏者が客演し、主にオルガンを演奏する。ボーカルはやや音程を外すが、ギター、ベース、ドラムは一線級のうまさだ。「デイブレイク」は後半にジョン・スクワイアのギターソロがある。「タイトロープ」はアコースティックギターとパーカッションによる演奏。

GARAGE FLOWER

1997年。85年に録音されたスタジオ録音を14曲収録。ギター2人の5人編成で録音。ベースは「石と薔薇」のマニと異なる。「ソー・ヤング」「テル・ミー」はデビューシングルになった曲。「アイ・ウォナ・ビー・アドアード」など3曲は再録音されて「石と薔薇」に収録されている。「石と薔薇」に比べればギターに粘り気があり、整理されていないロックという印象だ。これを85年に発表しても注目されたかどうか分からない。デビュー前の録音という、記録としての意味が大きい。

THE REMIXIES

2000年。

THE VERY BEST OF THE STONE ROSES

2002年。ベスト盤。