1980年。カンサスのボーカル、スティーヴ・ウォルシュのソロ・アルバム。カンサスのメンバーのうちギターの2人とドラムが参加。カンサスのロックン・ロール寄りの部分を中心に構成し、B面では長い曲やバイオリンが入る曲を置いている。バイオリンはディキシー・ドレッグスのメンバーが弾いており、ギターのスティーヴ・モーズも参加している。最も長い曲はプログレッシブ・ロックの雰囲気はなく、ホーン・セクションが入る。
1983年。スティーヴ・ウォルシュがシティ・ボーイのギター、マイク・スラマーと結成したバンド。4人編成。ボーカルはカンサスデビュー時から「モノリスの謎」までのように高音を駆使し、メロディーの抑揚を大きく取っている。曲はコンパクトで、バイオリンも入らない。カンサスらしさを感じるのはスティーヴ・ウォルシュのボーカルだけだ。オーソドックスで質の高いハードロック。全米166位。「イフ・ラブ・シュッド・ゴー」は87位。
1985年。キーボード、ドラムが80年代ハードロック・ブームの典型的な音になり、キーボードはシンセサイザーが多い。ドラムはメロディック・タムがエレキ・ドラム風で、ジョルジオ・モロダーがプロデュースしているかのようなサウンド。コーラスも多くなり、ヒット性に富んだ曲が多い。
2000年。ストリーツのギターとベース、マジェランのキーボード、ドラム等が参加したソロ・アルバム。ストリングスが入っているが、ミドルテンポで、暗め。ストリーツとはまったく逆。スティーヴ・ウォルシュは年とともに高音が出にくくなっている。マジェランのキーボード奏者が参加していることはほとんどサウンドに出てきていない。マジェランのようなキーボードはない。
2003年。イタリアのキーボード奏者のプロジェクトだが、スティーヴ・ウォルシュがメーンであるかのような宣伝をされている。ストリーツのギターとベースが参加。曲はほぼ全曲がロック、ハードロック・アーティストの作曲。ジョルジオ・モロダー、キップ・ウィンガー、サヴァイヴァーのジム・ピートリック、デビッド・フォスター等、80年代に活躍した人が多い。曲もその路線だが、サウンドはジョルジオ・モロダーやデヴィッド・フォスターが制作したようにはなっていない。なぜ他人の曲ばかりなのか理解しにくいアルバム。
2005年。ギター、ベースをコレクティヴ・ソウルのジョエル・コッチェ、ドラムをトゥイステッド・シスターのジョー・フランコが演奏し、シンフォニー・エックスのギター、マイケル・ロメオが編曲で参加している。バイオリンはカンサスのデイヴィッド・ラグズデイルが演奏。過半数の曲にバイオリンが入っており、いわゆるインダストリアル・ロックやラウドロックに近いサウンドもあるので、カンサスのファンも今のロックのファンも楽しめる。1曲だけが10分あり、それ以外は5分台が多い。かつてのカンサスのように編曲で大仰なキーボードにしているところがあり、明るい曲も少ない。「グロッソラリア」の路線。