2003年。スペース・カウボーイはフランス生まれのイギリス人DJによる個人プロジェクト。ヒップホップとハウスに影響を受けている。ダフト・パンクとファットボーイ・スリムに近いサウンド。2000年代前半に主流となっているクラブ・ミュージックとヒップホップのいいところをすべて取り込んだ印象。「オール・アバウト・マネー」はヒップホップ。「ジャスト・プット・ユア・ハンド・イン・マイン」「アイ・ドント・ケア」「オールウェイズ・アンド・フォーエヴァー」はダフト・パンクに近い。「アイ・ウッド・ダイ・フォー・ユー」はプリンスのカバー。日本盤ボーナストラックの「ジャンプ」はヴァン・ヘイレンのカバー。日本盤は2004年発売。
2005年。ヒップホップはなくなり、ダフト・パンク風の曲も大幅に減った。ギターが豪快なハードロックが半分以上を占める。「シェイカー・ベイビー」は80年代ハードロック。「スペース・カウボーイ」はスティーブ・ミラー・バンドのカバー。「スターズ・ン・ストライプス」はジミ・ヘンドリクスのようなギターだ。前作のタイトルと同じである「アクロス・ザ・スカイ」はディストーションがかかったギターにヴォコーダーのボーカルが乗る。曲が明るめでアップテンポなので、次々に変わるサウンドも好意的に聞ける。日本盤ボーナストラックの「アー・ユー・ゴナ・ゴー・マイ・ウェイ」はレニー・クラヴィッツのカバー。
2006年。「アクロス・ザ・スカイ」のころに戻りながら、「ビッグ・シティ・ナイツ」のロックを残している。曲全体がロックというよりも、ハウスやヒップホップの上にディストーションがかかったギターが乗っている曲が多い。「アイ・ノー・ワット・ガールズ・ライク」は80年代ハードロック。「ザッツ・ワット・ドリームズ・アー・メイド・オブ(MTV)」はバグルスの「ラジオスターの悲劇」のメロディーを使用している。歌詞の内容も「1983年のMTVを見た自分」になっている。
2009年。40秒ほどのトランスのようなイントロに続き、レディー・ガガを意識した「フォーリング・ダウン」につながる。歌詞は、レディー・ガガの「ボーイズ・ボーイズ・ボーイズ」がモトリー・クルーの「ガールズ・ガールズ・ガールズ」に対抗していることを踏まえているようにも見える。その他、どの曲もアップテンポで、日常の憂いを忘れさせる。踊るにはテンポが速い曲も交じっているが、気分を盛り上げるには十分だ。