1998年。セパルトゥラのボーカル、マックス・カヴァレラが結成したバンド。4人編成。ブラジル出身。セパルトゥラの「ルーツ」でやったようなサウンドを再現しながら、流行のラウド・ロックに近くした印象。フィア・ファクトリーやリンプ・ビズキットのメンバーが参加している。プロデューサーも「ルーツ」やKORNの初期と同じロス・ロビンソンなので、ハードというよりは低音が重く響く。パーカッションの高い音がベースやギターと対比されていいアクセントとなっている。
1999年。ライブ3曲、リミックス・バージョン2曲収録。「クイロンボ」はダブ・ミックス。
2000年。マックス・カバレラ以外のメンバーが全員入れ替わった。前半は前作よりも勢いがあるが、後半はバラエティに富んでいる。「イン・メモリー・オブ...」ではラップ、「フライハイ」では女声コーラスが出てくる。「サン・ソング」はマックス・カヴァレラと、ビートルズのジョン・レノンの息子、ショーン・レノンの共作。ショーン・レノン、スレイヤーのトム・アラヤ、スリップノットのコリー等が参加。
2002年。ドラムが入れ替わり、デビュー時のメンバーが復帰。パーカッションの音が減っているわけではないが、ヘビーメタルに近くなっている。「ツリー・オブ・ペイン」は静かな女声ボーカルから入り、途中で本来のソウルフライのサウンドになって再び女声ボーカルに戻る。この曲がハイライトか。「ワン・ネイション」はセイクレッド・レイクのカバー。ボーナストラックではなく、アルバムの本編に入っている。「ブラジル」という曲が入っているが、内容は祖国賞賛。セパルトゥラの「ルーツ」以来、マックス・カヴァレラが自らのアイデンティティを追い求める姿勢が続いている。
2004年。再びメンバーが全員入れ替わり、ドラムは「プリミティヴ」のメンバー、ギターは元イル・ニーニョのメンバー。ベースは12曲のうち5曲を元メガデスのデイヴ・エレフソンが弾いている。「マーズ」や「ポラーダ」ではスパニッシュ・ギターを導入、「モーゼ」ではレゲエをやっている。パーカッションやスパニッシュ・ギターはブラジル人として身近な素材なので、このバンドがそうしたサウンドになることは自然ななりゆきだ。ブラジルのアングラが十字軍遠征についてコンセプト・アルバムを作ったのも、マックス・カヴァレラと本質的に同じ思考をしているからであって、テーマが十字軍になったのは興味の対象が違っただけだ。アングラは歌詞とコンセプトで、ソウルフライはサウンドでアイデンティティを示している。マックス・カヴァレラの場合、ラテン音楽のよさをヘビーメタルやラウドロックに持ち込んで、それを流行のひとつにさせたことは極めて大きな貢献で、ラテン音楽以外の民族音楽でも他のバンドが成功しうる可能性を認めさせたことになる。
2005年。ラウドロックの要素が強くなり、ブラジル出身であることを感じさせるのは「ライオットスターター」くらいだ。「ライオットスターター」は民族音楽風の打楽器を鳴らすイントロがあり、セパルトゥラの「ルーツ」と同じ意味合いで使用している。ほとんど同時期にイル・ニーニョの「ワン・ネイション・アンダーグラウンド」が発売されたが、パーカッションについて、楽器のひとつとして使用するイル・ニーニョとは異なるスタンスを持っている。ボーカルやギターは自らが先導してきた分厚い低音のロックをやっており、サウンドが理解しやすい。曲も覚えやすくなっている。日本盤ボーナストラックの最後はライブが入っているが、マックス・カヴァレラのMCは「ルーツ・ブラッディ・ルーツ」と叫んでいるところで終わる。
2008年。
2010年。
2012年。