1969年。メンバー6人のうち1人は作詞専任。ベース兼フルート、ベース兼サックス、バイオリン、ボーカル兼ギター、ドラムの編成。時代を反映し、アートロック風の曲が大半だ。カントリーロックではなく、バンドサウンドにフルート、バイオリンを入れたロック。バイオリンはカントリーやブルーグラスというよりも東欧の民族音楽のイメージに近い。オープニング曲のサックスはジャズ風。ベース兼フルートが単独で作曲した「プディング・ストリート」「スイート・クリークス・スイート」はインスト曲で、フルート、バイオリンが中心。「アウト・ホエア・ザ・ヒルズ」は次作の「海上列車」で再録音されている。「海上列車」と同様にボーカルハーモニーによる盛り上がりがあり、フルートが活躍する。
1970年。邦題「海上列車」。ベース兼フル-ト、バイオリン、作詞が残り、ボーカル兼ギター、ボーカル兼キーボード、ドラムが加入。ビートルズのプロデューサーだったジョージ・マーティンがプロデュースしている。キーボード奏者が入ったことで、バンドのメイン楽器がバイオリン、ピアノ、オルガンとなった。フルートは目立たなくなり、ボーカルハーモニーを生かす曲が増えた。多くの曲でバイオリンがソロを取り、エレキギターの役割を果たす。「13の質問」は跳ねるようなキーボードとポップなメロディーでヒットした。「帰って来てエリーシャ」はガーシュインの「ラプソディー・イン・ブルー」の一節を引用する。「オレンジ・ブロッサム・スペシャル」は列車をイメージしたアップテンポな曲。
1971年。「香しき汝が歌」はエレキギターとベースがソロを取り、アルバムタイトル曲はフルートが目立つなど、それぞれのバンドメンバーがジョージ・マーティンのピアノ主導サウンドを押し返した。最後の「絶望のタイヤ」は前作の「オレンジ・ブロッサム・スペシャル」に近い雰囲気。ジョージ・マーティンのプロデュースはこのアルバムまで。
1973年。ベース兼フルートとキーボード、作詞以外の3人が抜け、キーボード、ギター、ドラムが加入。キーボードはピアノ中心となりオルガンが減った。バイオリンが抜けたため、電気的持続音はエレキギターが担うが、以前のバイオリンほど縦横に活躍するわけではない。バイオリンとオルガンが大幅に減ったことで泥臭さが抜けたが、同時にバンドのユニークさも失われている。「ブラッドショット・アイズ」はバンジョーとチューバ、ピアノ中心のボードビルのような曲で、これまでになかった曲調だ。「アベヴィル・フェア」は前作までいたバイオリン奏者が作曲に関わっており、アナログシンセサイザーのアープがバイオリンの代役のように使われる。「川の流れを見つめて」はボブ・ディランのカバー。「フルート・シング」はアル・クーパーが作曲したブルース・プロジェクトの曲。このアルバムで解散。ブルース・プロジェクトが再結成された。