2008年。女性ボーカル2人、ギター1人のグループ。女性ボーカルは双子。アメリカ・ニューヨーク出身。全編に女性ボーカルのハーモニーが貫かれる。エレクトロニクス、シンセサイザー、バンドサウンドの人工的な電子音を、女性ボーカルの人間的な温かみで補完している。リズムはややノイズが交じり、メロディーはエコーが深くかかっている。シンセサイザーやギターのエコーと女性ボーカルが音に閉鎖的な空間をイメージさせ、聞き手に天空を想像させる。アーケイド・ファイアに似ている。「センピターナル/アマランス」は11分。
2009年。「アルピニズムス」の別バージョン。12曲のうち8曲の別バージョンを収録し、アルバム未収録曲を1曲追加している。エレクトロニクスをドラムに置き換えたり、デモ、ライブを収録したり、アレンジを変えたりしている。雰囲気を大幅に変えたような曲はない。日本のみの発売。
2010年。前作よりもビート、メロディーが明確に聞き取れるようになり、一般性を持ったサウンドになった。女性ボーカルはハーモニーよりも歌を聞かせることが多い。ニューウェーブ、エレクトロポップのサウンドで、近寄りがたさが少なくなったのは好感が持てる。純粋さや慈愛のような雰囲気を持った女性ボーカルは健在。「ダスト・デヴィル」はアンダーワールドを思い出す。
2012年。女性1人が抜け男女デュオになった。9曲のうち7曲はドラムを使っている。女性コーラスは多重録音しているので、女性ボーカルが抜けたことの影響はない。異なる音程のメロディーが同じように歌われるので、主旋律が定まっていない。シューゲイザーのような厚い持続音とエレクトロニクスの人工音がほどよく混ざる。タイトルはゴーストとストーリーの合成。ゴーストをテーマに含んでいても、サウンドは幻想という雰囲気ではなく、むしろビートが効いて歯切れがよい。「スカヴェンジャー」はレディオヘッドをカバーしているような曲。9曲で45分。
2016年。邦題「スクール・オブ・セヴン・ベルズ」。男性が2013年に死去し、女性がプロデューサーとともに完成させた。ボーカルメロディーがほぼ一つの線に固定され、メロディーの追いやすさは一般的なポップスに近くなっている。ボーカルもコーラスもほとんどは女性が担っているが、「オン・マイ・ハート」は男性の声も出てくる。メロディーを構成する音はシンセサイザー中心。「シグナルズ」はエレクトロニクスのリズムによるシューゲイザーにギターが絡んでくるが、それ以外の曲でギターが出てくるのはわずかで、不協和音の厚さは失われている。ボーナス・トラックのジョーイ・ラモーンのカバーは男性の最後の編曲という。カバーということもあるが、この曲はアルバム収録曲と方向がやや異なり、よくできている。