ROXY MUSIC

  • イギリスのロックバンド。サックス奏者を含む6人編成。グラムロックの要素を持つアート志向のロック。
  • ブライアン・フェリー、フィル・マンザネラ、ブライアン・イーノ、アンディ・マッケイはいずれもソロでも活躍している。
  • 成熟した大人を対象にしたようなサウンド、曲。解散前のジャケットは常に大人の女性を登場させている。
  • 代表曲は「恋はドラッグ」「ヨーロッパ哀歌」「夜に抱かれて(モア・ザン・ディス)」。

1
ROXY MUSIC

1972年。ボーカル兼ピアノのブライアン・フェリー、ギターのフィル・マンザネラ、シンセサイザーのブライアン・イーノ、サックスのアンディ・マッケイ、ベースのグラハム・シンプソン、ドラムのポール・トンプソンによる6人編成。イギリス出身。作曲はすべてブライアン・フェリーで、プロデュースはキング・クリムゾンのピート・シンフィールド。グラム・ロック全盛時にデビューし、ロキシー・ミュージックもやや派手なファッションでデビューしているのでグラム・ロックのバンドと認識された。しかし、曲はアート指向があり、ギター、サックス、オーボエ、メロトロンがプログレッシブ・ロックの影響を伝える。「レディトロン」はメロトロンが活躍。「イフ・ゼア・イズ・サムシング」はアンディ・マッケイのための曲。「ヴァージニア・プレイン」は唯一グラム・ロックらしい曲でヒット。

2
FOR YOUR PLEASURE

1973年。ベースが抜け5人編成。A面の5曲はポップ指向で、B面の3曲はアート指向だ。B面は曲の長さに比べて歌詞が少なく、シンセサイザーやサックス、ギター、メロトロンが長いソロをとる。A面に入っている「イン・エヴリ・ドリーム・ホーム・ア・ハートエイク」はB面に入っていてもおかしくない曲なので、曲が進むに従ってポップがアートになっていく流れを作ったのかもしれない。

3
STRANDED

1973年。邦題「ストランド」。シンセサイザーのブライアン・イーノが抜け、カーヴド・エアのエディ・ジョブソンが加入、ベースにクオターマスのジョン・ガスタフソンが加入し、6人編成。音程の揺らぎによる一種の近寄りがたさが減り、ブライアン・フェリーのボーカルが目立つ。8分ある「祈り」は男声合唱団が後半に加わる。「ヨーロッパ哀歌」はヒットした。「セレナーデ」はポップないい曲だ。ブライアン・フェリーがアンディ・マッケイ、フィル・マンザネラと共作した曲が1曲ずつある。

4
COUNTRY LIFE

1974年。前作からさらに聴きやすくなった。「オール・アイ・ウォント・イズ・ユー」「イフ・イット・テイクス・オール・ナイト」はヒット性が高い。ストリングスも担当するエディ・ジョブソンの存在感が大きくなり、相対的にアンディ・マッケイの活躍が減っている。「ビター・スウィート」は「ヨーロッパ哀歌」に似た雰囲気。「トリプティック(聖なる3枚の絵)」は多声コーラスが印象的。10曲のうち4曲はブライアン・フェリーとアンディ・マッケイ、フィル・マンザネラとの共作。

5
SIREN

1975年。バイオリンやストリングス、サックスがソロ楽器ではなくリズム楽器として働く曲が多い。曲は粒ぞろいで聞きどころも多い。グラム・ロックの面影はなくなった。「エンド・オブ・ザ・ライン」のバイオリンはクラシックではなくカントリーだ。エディ・ジョブソンが作曲にかかわった「シー・セルズ」はスティーヴィー・ワンダーの「迷信」を思わせるフレーズが出てくる。オープニング曲の「恋はドラッグ」は代表曲。

 
VIVA!

1976年。ライブ盤。このアルバムで活動停止。

6
MANIFESTO

1979年。ブライアン・フェリー、フィル・マンザネラ、アンディ・マッケイ、ポール・トンプソンの4人で再結成。ベースとキーボードはサポート・メンバーを使っている。キーボードのポール・キャラックはエースの元メンバー。ストリングスがなくなった分、サックス、ギターが出てきている。キーボードでサウンドを整えており、やや刺激が少ない。もともとベースが重要な役割を果たす曲が多いバンドだが、このアルバムではいつにも増して印象が大きい。「トラッシュ」収録。

7
FLESH+BLOOD

1980年。正式メンバーはブライアン・フェリー、フィル・マンザネラ、アンディ・マッケイの3人。ベース、ドラム、キーボードは前作と同様にサポート・メンバーを使っている。ロキシー・ミュージックのアルバムで初めてカバー曲が入った。オープニング曲の「イン・ザ・ミッドナイト・アワー」はウィルソン・ピケット、「霧の8マイル」はザ・バーズのカバー。アルバムは全体的にヨーロッパ人によるアダルト・オリエンテッド・ロックの雰囲気がある。「セイム・オールド・シーン」はシンセサイザーの音にこの当時のニューウェーブの影響が出ている。

8
AVALON

1982年。輪郭のあいまいなキーボードとギター、深めのエコー、少なめのディストーションというような、80年代ロックのひとつの典型的サウンドを示した。イギリスのポリス、カナダのラッシュも同様のサウンドだった。多くの曲でパーカッション、アフリカ系男性バック・ボーカルを入れ、ギターは2人で演奏する。「トゥ・ターン・ユー・オン」ではフィル・マンザネラがギターを弾かず、サポート・メンバーだけで演奏している。70年代にデビューしたロックバンドが、パンクやニューウェーブのバンドにはなしえないサウンドを作っている。「夜に抱かれて(モア・ザン・ディス)」はヒット。「我が胸のときめきを(ホワイル・マイ・ハート・イズ・スティル・ビーティング)」はビートルズの「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」を意識したようなタイトルだ。

 
HEART STILL BEATING

1990年。ライブ盤。「アヴァロン」発表後のライブ。パーカッション奏者や3人のバック・ボーカルも参加している。「インポッシブル・ギター」はアップテンポなギターソロ。「ライク・ア・ハリケーン」はニール・ヤングのカバー。「ジェラス・ガイ」はジョン・レノンのカバーで、ジョン・レノンの暗殺直後にロキシー・ミュージックが録音、発売し、全英1位となった曲。

 
TOKYO JOE-THE BEST OF BRIAN FERRY AND ROXY MUSIC

1997年。ロキシー・ミュージックとボーカルのブライアン・フェリーのベスト盤。ブライアン・フェリーが10曲、ロキシー・ミュージックが10曲で、ほぼ交互に収録されている。「はげしい雨が降る」はボブ・ディラン、「煙が目にしみる」はプラターズのカバー。