RENAISSANCE/ILLUSION

  • イギリスのプログレッシブ・ロックバンド。キーボード奏者を含む5人編成。ボーカルが女性のプログレッシブ・ロックでは最も有名なバンド。
  • 「プロローグ」以降の女性ボーカル、アニー・ハズラムの澄んだボーカルに人気があった。
  • 70年代の人気が高い。80年代はポップ化し、活動は縮小。
  • 代表作は「燃ゆる灰」「シェエラザード夜話」。

1
RENAISSANCE

1969年。ヤードバーズのボーカル兼ギターのキース・レルフ、ドラムのジム・マッカーティーを中心とし、女性ボーカル、ピアノ、ベースを加えた5人組。女性ボーカルはキース・レルフの妹のジェーン・レルフ。ギターの音はほとんど出てこず、曲の大部分はピアノとチェンバロがメロディーを形成する。ピアノは音の強弱を大きくつけ、クラシックに傾いた演奏をする。「島」のエンディングはベートーベンのピアノソナタ第8番「悲愴」の第3楽章。ロックン・ロール的な明るさや跳躍感はない。2人いるボーカルが実力不足。全英60位。

2
ILLUSION

1971年。前作と同路線。「フェイス・オブ・イエスタデイ」のイントロはエルトン・ジョンの「黄昏のレンガ路」のイントロと似ている。(エルトン・ジョンの方があと。)

3
PROLOGUE

1972年。メンバーが全員入れ替わり、キーボードを含む5人で再編。ボーカルは女性のアニー・ハズラム。6曲のうち2曲はジム・マッカーティーの作曲。「プロローグ」はショパンの練習曲第12番「革命」のエチュード、「キエフ」はラフマニノフの前奏曲「鐘」、「ラジャ・カーン」はラベルの「ボレロ」を使用。

4
ASHES ARE BURNING

1973年。邦題「燃ゆる灰」。ギターが抜け4人編成。メロディーはピアノが主導し、アコースティック・ギターとストリングスが補完し、イエスのクリス・スクワイアのようなベースが支える。アニー・ハズラムのボーカルは高音の伸びがすばらしい。プログレッシブ・ロックの女性ボーカルでは最高峰。代表作。

5
TURN OF THE CARDS

1974年。邦題「運命のカード」。作曲の要だったマイケル・ダンフォードがメンバーとなり5人編成。マイケル・ダンフォードの担当楽器はわざわざアコースティック・ギターと書かれている。10分弱の長い曲が3曲、3分が2曲、6分が1曲。前作よりもオーケストラの活躍が大きい。「冷たい世界」はアルビノーニのアダージョを使用。「母なるロシア」収録。

6
SCHEHERAZADE AND OTHER STORIES

1975年。邦題「シェエラザード夜話」。「シェヘラザード」は一般的にリムスキー・コルサコフの交響組曲が有名で、「アラビアン・ナイト」からモチーフを得ている。幻想文学では「アラビアン・ナイト」は代表的な題材なので、これに類する物語を一括して「アラビアン・ナイトもの」というサブジャンルを形成している。ロックではエレクトリック・ライト・オーケストラの「エルドラド」が有名。「はげたかは飛ぶ」はバンドのなかではハードな曲。「シェエラザード夜話」は9部に分かれ24分ある。通常の曲よりオーケストラや合唱が多く入る。

 
LIVE AT CARNEGIE HALL

1976年。2枚組ライブ。1枚目は5曲のうち3曲が10分超。2枚目は「シェエラザード夜話」が26分、「燃ゆる灰」が23分。ニューヨーク・フィルと共演。ボーカルもバンドもスタジオ盤とほとんど変わらない演奏力。「燃ゆる灰」はベースソロを含む。

7
NOVELLA

1977年。邦題「お伽噺」。「姉妹」のアコースティック・ギターソロはロドリーゴのアランフェス協奏曲第2楽章を使用。この曲の題材になっているアランフェス宮殿はスペインにあり、この中にある「アラブの間」の天上には、同じくスペインにあるアルハンブラ宮殿の「2姉妹の間」と同じデザインの絵が描かれている。クラシックを基本にした古風なサウンドはこのアルバムが最後。「私の声が聞こえますか」「ミダスの誘惑」「情熱」収録。

8
A SONG FOR ALL SEASONS

1978年。邦題「四季」。明るいメロディーやカウンター・メロディー、ボーカルの多重録音などが登場し、緊張感や厳かさはやや薄れている。アコースティック・ギターだけではなくエレキギターも使用。音がモダンになっただけで、雰囲気は大きく変わったわけではない。「北の輝き」収録。全英35位。

9
AZURE D'OR

1979年。邦題「碧の幻想」。ポップなロックになった。長い曲がなくなり、最長でも5分。サウンドの中心がピアノやストリングスからシンセサイザーに移っている。「天使だけが翼をもっているなんて信じられない」はシンセサイザーとボーカルのみで、ベースやドラムは出てこない。「ウィンター・トゥリー」と「きらめき」がこのアルバムの方向を象徴している。「ジキルとハイド」収録。全英73位。

10
CAMERA CAMERA

1981年。キーボードとドラムが抜け3人編成。サウンドも大きく変わり、ロックかどうかも判断しにくい。「オキチーサン」は歌詞からすると正しくは「おキチさん」。日本の芸者の歌。舞台は下田になっている。「フェアリーズ(リビング・アット・ザ・ボトム・オブ・ザ・ガーデン)」「ランニング・アウェイ・フロム・ユー」はディスコなのかニューウェーブなのかというサウンド。最後の「ウクライナへの道」がクラシック風のピアノのイントロとアコースティックギターで、かつてのルネッサンスを思い出させる。

11
TIME-LINE

1983年。前作と同路線。「リチャード9」はアバの曲にビーチ・ボーイズのようなコーラスが入る。

BLESSING IN DISGUISE/ANNIE HASLAM’S RENAISSANCE

1994年。ルネッサンスが解散し、アニー・ハズラムを中心に再結成されたルネッサンスのアルバム。ほとんどの曲をアニーハズラムが作曲。マイケル・ダンフォードの曲も1曲ある。

 
DA CAPO

1995年。2枚組ベスト盤。「アフリカ」と「ライターズ・ロンゲッド」は「カメラ、カメラ」のあとに録音された未発表曲。「アフリカ」はイントロにアフリカをイメージしたパーカッションを挿入。

THE OTHER WOMAN/MICHAEL DUNFORD’S RENAISSANCE

1995年。邦題「もう一人の私」。マイケル・ダンフォードを中心に再結成。ボーカルはアメリカ人女性。アニー・アズラムは参加していない。

LIVE AT THE ROYAL ALBERT HALL WITH THE ROYAL PHILHARMONIC ORCHESTRA,PART 1

1997年。オーケストラとの共演。ロイヤル・フィルは、クラシックの世界でもそれほど質は高くない。ロンドンに拠点を置くオーケストラでは最も地位が低く、財政上の理由からディープ・パープルなどのロック・ポップスグループと共演し、さらにオーケストラの地位を下げる悪循環になっている。1977年録音。

LIVE AT THE ROYAL ALBERT HALL WITH THE ROYAL PHILHARMONIC ORCHESTRA,PART 2

1997年。

OCEAN GYPSY/MICHAEL DUNFORD’S RENAISSANCE

1997年。再結成ルネッサンスの2枚目。

SONGS FROM RENAISSANCE DAYS

1997年。1979年から1988年までの未発表曲などを集めた企画盤。

INNOCENCE

1998年。デビュー盤に未発表曲を追加。

BBC SESSIONS

1999年。70年代後半のライブ。

DAY OF THE DREAMER

2000年。70年代中期のライブ。

UNPLUGGED LIVE AT THE ACADEMY OF MUSIC

2000年。1985年のライブ。

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TUSCANY

2000年。邦題「トスカーナ」。アニー・ハズラムとマイケル・ダンフォードを中心に再々結成。ドラムも全盛期のメンバー。キーボードも正式メンバーがいるが、全盛期のメンバーがゲスト参加。ベースはエレクトリック・ライト・オーケストラ、ウィザードのロイ・ウッドが弾いている。「四季」から「碧の幻想」のころのサウンド。「ライフ・イン・ブラジル」はブラジルをイメージしたサンバ調のサウンド。

 
RENAISSANCE

2002年。アメリカで発売されたデビュー盤の再発売盤。

 
THE MYSTIC AND THE MUSE

2010年。3曲入りEP。タイトル曲はシンセサイザーによるストリングスを多用した8分近い曲。エレキギターも使われない。「インモータル・ビラヴド」はバラード。

 
ARMAGEDDON/ARMAGEDDON

1975年。初期ルネッサンスの中心人物だったキース・レルフが、元ルネッサンスのベース、スティームハマーのギター、キャプテン・ビヨンドのドラムと結成したハードロック・バンド。オープニング曲の「肉食鳥」はハードでスピーディー。後半にキース・レルフのブルース・ハープが出てくる。「未来への小路」もすばらしい。最後の「真夜中の太陽」は11分半で4部構成の組曲。

 
OUT OF THE MIST/ILLUSION

1977年。キース・レルフ在籍時のメンバーを中心に再編し、新たにイリュージョンとして結成されたバンド。ドラムのジム・マッカーティーがボーカル兼ギターになり、女性ボーカル、専任ギター、ベース、ドラム、キーボードによる6人編成。「キャンドルズ・アー・バーニング」は厚いシンセサイザーの音で始まるが、曲の構成は初期に近い。

 
ILLUSION/ILLUSION

1978年。緊張感のある硬派なクラシック風味は薄れ、堅苦しさはなくなった。アコースティックギターやキーボードの比率が高くなっている。ストリングスや合唱をうまく取り入れた「ザ・レボリューショナリー」はすばらしい。

ENCHANTED CARESS/ILLUSION

1990年。1979年に録音されたイリュージョンのアルバム。