1986年。邦題「ウエスト・エンド・ガールズ」。80年代中ごろからキーボード、シンセサイザーの発達によって、バンド形態を取らなくてもシンセサイザーだけでポピュラー音楽ができ、ヒットさせられるようになった。エレクトロニクスを多用してもバンド形態で活動するアーティストは多いが、ペット・ショップ・ボーイズは2人だけで活動している。「ウエスト・エンド・ガールズ」「オポチュニティーズ」「恋はすばやく」がヒットした。「アイ・ウォント・ア・ラヴァー」はミュンヘン・ディスコのようなメロディー。
1986年。リミックス盤。
1987年。邦題「哀しみの天使」。曲の半数は5分ある。効果音も使っている。「とどかぬ想い」はダスティ・スプリングフィールドが参加。「哀しみの天使」は聖歌隊が参加している。
1988年。曲が長くなり、6曲で48分ある。「レフト・トゥ・マイ・オウン・ディヴァイセズ」は本物のオーケストラを使っている。ボーカル・メロディーは抑揚があまりない。「ドミノ・ダンシング(ダンス・リミックス)」はパーカッションとホーンセクションが入るラテン風ダンス曲。「レフト・トゥ・マイ・オウン・ディヴァイセズ」と「イッツ・オーライト」はトレヴァー・ホーンがプロデュースしている。
1989年。シングルに曲を追加した企画盤。6曲のうち4曲は「イントロスペクティヴ」収録曲のバージョン違い。「ワン・オブ・ザ・クラウド」はキーボードのクリス・ロウがボーカルを取っている。日本のみ発売。
1990年。邦題「ビヘイヴィアー・薔薇の旋律」。聴覚上の刺激を狙ったようなとがった音が少なくなった。流れるようなメロディーとサウンドだ。「シリアスリー」はエレキギターが使われる。「10月のシンフォニー」はザ・スミスのギター、ジョニー・マーが参加している。最後の「ジェラシー」は突然オーケストラ風のエンディングになる。
1991年。ベスト盤。
1993年。リズム感が戻り、曲調が明るくなった。エレクトロ・ポップのイメージをそのままサウンドにしている。
1994年。リミックス盤。
1995年。2枚組。シングルのB面等を30曲収録。日本盤ボーナストラックの「ガールズ&ボーイズ」はライブ。
1996年。バイリンガルとは英語とスペイン語のようだ。中南米のリズム、サウンドが随所に出てくる。曲によってはボーカルメロディーが内省的で、これまでのアルバムで最も曲の幅が広いと言える。「お祝いの日」が最もペット・ショップ・ボーイズらしい。
1999年。オーケストラを大半の曲に使っている。リズムはリズム・マシーンやエレクトロニクスで作っているが、メロディーはオーケストラとシンセサイザー、ピアノが同じ程度に混合され、やや冷たい雰囲気がある。「イン・ディナイアル」はカイリー・ミノーグが参加している。「ニューヨーク・シティ・ボーイ」はポップ。
2000年。
2002年。前作のオーケストラとピアノが大幅に減り、シンセサイザーのようなギターとシンセサイザーが増えた。ミドルテンポのメロディアスな曲が多く、80年代のようなアップテンポのポップな曲は少ない。「ナイトライフ」とサウンドは異なっているが、曲調はあまり変わっていない。
2003年。
2003年。2枚組。ベスト盤。新曲2曲収録。1枚目がポップ、2枚目がアートで統一されている。新曲の「フランボヤント」はアートでもポップでも収録可能なサウンド。
2006年。奇数目の曲はオーケストラの雰囲気が強く出る「ナイトライフ」路線の曲が中心。偶数目の曲はポップで編曲がすばらしい曲が多く、これらの曲がこのアルバムの質を上げている。「ザ・ソドム・アンド・ゴモラ・ショー」「インテグラル」はいい曲だ。初回生産盤はリミックス盤が付いた2枚組。
2006年。
2007年。
2009年。ビートがこれまでより大きくなり、全体的に音が跳ねている。バンド風のドラムも多く、バンド編成で演奏することを想定したようなサウンドだ。「オール・オーヴァー・ザ・ワールド」はチャイコフスキーの「くるみ割り人形」のメロディーを使用している。「ビューティフル・ピープル」は60年代風のギターとリズムだ。「ザ・ウェイ・イット・ユースト・トゥ・ビー」はシンセサイザーのソロが入る。ジャケットはリミックス盤がついた「イエス・エトセトラ」。
2010年。ライブ盤。
2010年。邦題「究極のペット・ショップ・ボーイズ」。ベスト盤。
2012年。邦題「エリシオン~理想郷」。音全体がなめらかで、エレキギターの歪む音やエレクトロニクスの角が立った音はかなり抑えられている。「ア・フェイス・ライク・ザット」「エゴ・ミュージック」はビートが効いている。「ホールド・オン」はコーラス主体の曲で、キーボードのメロディーはヘンデルが使われているという。「ウィナー~君は勝利者」はロンドン五輪と同時期にシングルで発売されている。