PARADISE LOST

  • イギリス出身のゴシックメタル・バンド。ボーカル、ギター2人、ベース、ドラムの5人編成。
  • ヘビーメタルにゴシックの要素を持ち込んだ。90年代後半から2000年代前半はシンセサイザー中心のニューウェーブ風サウンド。
  • 2000年代後半はヘビーメタルに回帰している。代表作は「ゴシック」「ドラコニアン・タイムス」。

1
LOST PARADISE

1990年。ボーカルがデス声で歌うデスメタル。リズムが頻繁に変わり、ギターもメロディーを作る。アルバムタイトル曲は2分のインスト曲。キーボードや女性ボーカルを使う曲はゴシックメタルの面影がある。日本盤は1995年発売。

2
GOTHIC

1991年。女性ボーカル、オーケストラを取り入れたオープニング曲「ゴシック」が、ゴシックメタルの基本サウンドとなった。メロディー、アンサンブルが格段によくなり、実質的にこのアルバムがデビューアルバムとなっている。「ザ・ペインレス」はギターソロと女性ボーカルが栄える。「エターナル」収録。日本盤は1995年発売。

3 
SHADES OF GOD 

1992年。バンドメンバーだけで演奏し、女性ボーカルやオーケストラを使っていない。デス声とダミ声の間のようなボーカルでヘビーメタルを歌う。ゴシックメタルというイメージは少ない。このころはサウンドの方向が定まっていない。このアルバムで日本デビュー。日本盤は1993年発売。

 
AS I DIE

1992年。EP盤。アルバム未収録の3曲はいずれも「シェイズ・オブ・ゴッド」の日本盤にボーナストラックとして収録されている。

4 
ICON 

1993年。メタリカのジェイムズ・ヘットフィールドのようなボーカルと、低く抑制された声を使い分け、対比させる。メロディーは大陸ヨーロッパの薄暗さを想起させる。ゴシックメタルとしてはこのアルバムでひとつの形を作ったと言える。「クリスンダム」は女性ボーカルが入る。

5 
DRACONIAN TIMES 

1995年。前作ほどのボーカルの対比はないものの、ヘビーメタルの要素が前面に出たアルバム。ヘビーメタルのファンには受け入れられたが、ゴシックメタルの典型的な部分は後退した。ハードな音を追求するファンには、女性ボーカルやオーケストラは余分かもしれないが、それらがゴシックメタルのアイコンとも解釈できる。「フォーエヴァー・フェイラー」収録。

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ONE SECOND

1997年。ドラムが交代。「アイコン」の路線を進め、キーボード、エレクトロニクスをを増やした。「ディス・コールド・ライフ」はニューウェーブに近い。アルバム全体から言えば、ヘビーメタルのバンドとは言えなくなっている。穏やかで静かな部分と角が立ったハードな部分の対比を大きくして、ハードな部分のみギターが目立つようになっている。デス声は使われない。

 
REFLECTION

1998年。ベスト盤。「フォーエヴァー・フェイラー」はストリングスが入ったシングル・リミックス、「ラティング・ミズリー」はアルバムデビュー前のEPに収録されているイン・ダブ・リミックスを収録。98年のライブ3曲も収録。

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HOST

1999年。シンセサイザー、エレクトロニクスを中心にした現代的なニューウェーブ・サウンド。90年代後半にイギリスで流行したダンス・ミュージック、エレクトロ・ポップ、あるいはクラブ・ミュージックと融合したロックに影響されたとみられる。したがってアンダーワールド、プライマル・スクリームなどと同じ流れの上にある。プロデューサーはデペッシュ・モードのアルバムを担当したスティーヴ・ライオン。音のほとんどがエレクトロニクス、シンセサイザーで制作されており、もはやギター2人のバンド体制である意義が薄れているが、加工前の音はギターやドラムであることが多い。

8
BELIEVE IN NOTHING 

2001年。キーボードの多いバンドサウンドになり、ロック方面に戻った。ミドルテンポでゆっくりとメロディーが流れていくロックは、80年前後のゴシックロックのイメージに近い。ギターはヘビーメタルのバンドであったことを思い出させる重厚な音だ。ゴシックの範囲からは逸脱していないため、ゴシックメタルのバンドという認識が狭小であることが分かる。

9
SYMBOL OF LIFE

2002年。シンセサイザーが後退し、ヘビーメタルに近くなった。ボーカルがKORNのジョナサン・デイヴィスの声を思わせる。「チャネル・フォー・ザ・ペイン」などはヘビーメタルそのものだ。カテドラルのリー・ドリアン、デヴィン・タウンゼンドがボーカルで参加している。日本盤は出ていない。

10
PARADISE LOST

2005年。ドラムが抜け4人編成。「ゴシック」「ワン・セカンド」のころに戻り、ヘビーメタルのサウンドになった。ミドルテンポのまま、キーボードがバンドサウンドの背景となって響いている。日本盤は出ていない。 

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IN REQUIEM

2007年。ドラムが加入。「ビリーヴ・イン・ナッシング」以来の日本盤が出た。ヘビーメタルのサウンド。キーボードはその上に乗る補助的な音で、一般的なヘビーメタルのバンドの音と変わらない。オープニング曲からギターを刻む音が使われる。ギター2本がそれぞれの役割を果たす。ボーカルは力強くメロディーを歌う。

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FAITH DIVIDES US-DEATH UNITES US

2009年。ドラムが交代。ギターの音を揺らすメロディーではなく、旋律の流れによって哀感を出すヘビーメタル。キーボードの量が減り、演奏楽器にキーボードやシンセサイザーの表記がなくなった。ゴシックメタルであるかどうかは最早的はずれな聞き方になるだろう。「フレイルティ」や「ユニヴァーサル・ドリーム」ではハードな演奏が聞ける。この路線で地道に活動するのがいいのではないか。