オブ・モンスターズ・アンド・メンはアイスランドのロックバンド。ボーカル兼アコースティックギターの男女、キーボード兼アコーディオンを含む6人編成。
2011年。女性ボーカルのナンナ・ブリンディース・ヒルマルスドッティルを中心とし、哀愁を帯びたメロディーをアコースティック楽器のバンド編成で演奏する。ダンス音楽である「リトル・トークス」がヒットし、代表曲となっているが、むしろナンナ・ブリンディース・ヒルマルスドッティルの声を張り上げないで歌う、ビブラートをかけないで歌うフリート・フォクシーズ風の曲に魅力があるのではないか。オープニング曲の「ダーティ・ポーズ」はすばらしい。「マウンテン・サウンド」「ユア・ボーンズ」もいい曲。日本盤は2013年発売。
2015年。アコーディオンを使わなくなり、ギターとキーボードを中心にバンドサウンドを構成している。シューゲイザーに影響を受けた、抑制の効いたロック。オープニング曲の「クリスタルズ」はロックらしさを提示しており、前作とは雰囲気が異なることを示している。「ウルヴズ・ウィズアウト・ティース」は力強い。最後の3曲は前作のメロディーと女性ボーカルを伴ない、シューゲイザーの雰囲気や盛り上がりを取り入れている。「スロー・ライフ」はライブでも盛り上がるだろう。アコーディオンを使わなくなったことによって非英米であることの象徴的サウンドが失われている。
2019年。さらに同時代的になり、バンドサウンドを基本とするロックとなっている。男性ボーカルと女性ボーカルそれぞれに含まれる郷愁のような雰囲気を活かした曲は少ない。少なくともアイスランド出身という周縁性は薄められ、英米のロックバンドと変わらなくなっている。英米のバンドと同列に並ぼうとするとき、他のバンドと区別される個性は何かを考えると、出自のイメージではないか。