1979年。4人編成。イギリス出身。ボーカルのイアン・カーティスの低い声、抑えた衝動性とそぎ落とされた演奏がサウンド上の特徴となっている。ギターよりもベースが目立ち、曲によってキーボードも使われる。音の数が少ないため緊張感も大きい。ハードさや勢い、楽しさとは遠いサウンド。陰鬱。
1980年。キーボードが増え、ボーカルの声の雰囲気とも相まってドアーズを思い出させる。ベースの役割が大きいという点ではストラングラーズにも通じる。
1981年。ジョイ・ディヴィジョンのボーカル、イアン・カーティスが死亡し、ジョイ・ディヴィジョンはバンド名をニュー・オーダーに変更。残りの3人にギター兼キーボードの女性を加え4人編成。ボーカルはギターのバーナード・サムナーがとっている。ジョイ・ディヴィジョン時代の曲を流用した曲も含まれているが、ジョイ・ディヴィジョンほどの圧迫感、緊張感はない。キーボード、エレクトロニクスの量が多くなり、サウンドも違うバンドになったことを印象づける。ボーカルはイアン・カーティスに似せた歌い方。
1983年。邦題「権力の美学」。サウンドが大きく変わり、ボーカルはメロディアスに歌う。リズムの中心はエレクトロニクス。キーボードが全体のサウンドを決定する。ジョイ・ディヴィジョンはもちろん、ジョイ・ディヴィジョンの曲を流用した前作とも異なり、ニュー・オーダー独自のサウンドを確立した。代表作。
1985年。前作の路線にポップさとハードさが加わり、曲も起伏に富んでいる。ドラムがうまくなり、キーボードのリズムと相乗効果を出している。70年代後半のディスコをバンドで、多少の生々しさを残しながら演奏している。「ラヴ・ヴィジランテス」「フェイス・アップ」はいい曲。
1986年。メロディーはほとんどがキーボード主導、リズムもエレクトロニクスやエレキ・ドラムが多い。ロックというよりはハードなエレクトロ・ポップ。機械的に刻まれていくリズムはスピーディーで、イギリスのクラブ・ミュージックに大きな影響を与えたことが理解できる。インスト曲がなくなった。
1987年。シングル集。
1989年。キーボードが減り、ディストーションがあまりかからないギターが目立つ。音の密度が小さくなり、結果的にギターとドラムが前作よりもよく聞こえるようになった。イギリスで流行していたハウス・ミュージックの影響を受けている。
1993年。「権力の美学」から続いてきたエレクトロ・ポップ、ロックから見れば落ち着いたサウンド。前作の路線も引き継いでいるが、ハウス・ミュージックのサウンドはあまりない。取り立てて指摘するような特徴が少ないことは、逆に広く受け入れられる可能性も持っているが、イメージとしては地味だ。
2001年。キーボードをメーンにしたロックで、エレクトロニクスの量は、この当時のロックから見ればごく普通だ。ロックにエレクトロニクスを導入するのは80年代前半にニュー・オーダーが広めたといってもよいが、90年代にはクラブ・ミュージックやインダストリアル・ロックの流行によって表現の一形態に定着した。バンドのサウンドをさほど変化させずに、そのときの一般的なサウンド形態に収まってしまうのは驚きだ。スマッシング・パンプキンズのビリー・コーガン、プライマル・スクリームが参加。
2005年。前作の路線。「クラフティー」は日本盤ボーナストラックで日本語バージョン収録。