1980年。邦題「神(帰ってきたフライング・アロウ)」。UFOのギター、マイケル・シェンカーが結成したバンド。キーボードを含む5人編成。ボーカルはゲイリー・バーデン、ドラムはサイモン・フィリップス、キーボードはレインボーのドン・エイリー。マイケル・シェンカーのギターが中心になっている。曲調はハードロックで、アップテンポな曲はない。イギリス、ドイツで活動したアーティストにしては、やや明るめの印象がある。今もこのアルバムが代表作。「アームド・アンド・レディー」「クライ・フォー・ザ・ネーションズ」「イントゥ・ジ・アリーナ」「ロスト・ホライズンズ」収録。
1981年。シングル盤。B面はライブ2曲。
1981年。邦題「神話」。ドラムはレインボーのコージー・パウエル、キーボードはUFOのポール・レイモンド。ギターの次にドラムのシンバルが目立つ。有名な曲は前作ほどはない。
2001年。邦題「武道館ライブ・飛翔伝説」。「神話」のメンバーでのライブ。1981年録音。オープニングはワーグナーの「ワルキューレの騎行」を使用。ハードロックのバンドとしては当時日本で最高級の人気であった。初来日公演で、歓声も大きい。2001年の再発売盤はコージー・パウエルのドラム・ソロ単独で1曲を構成し、「オクトパス」の中の2曲を演奏。「ドクター・ドクター」はUFOの曲。
1982年。邦題「黙示録」。キーボードが抜け、ボーカルとドラムが交代、4人編成。ボーカルはレインボーのグラハム・ボネット。ポップ指向のグラハム・ボネットが入ったおかげで、曲にメリハリがあってよい。「ダンサー」はすばらしい。「デザート・ソング」「サムライ」収録。
1983年。邦題「限りなき戦い」。ボーカルはゲイリー・バーデンが復帰、キーボードが加入し、再び5人編成。キーボードをこれまで以上に使用したアルバムで、それにあわせて曲も明るい。オープニング曲「ロック・マイ・ナイツ・アウェイ」のイントロからポップなキーボード。この曲をはじめとして、「魔性の女」などはすばらしい。曲の良さがポップさと相乗効果をなしている。「キャプテン・ネモ」「戦争の犬たち」収録。2000年の再発売盤はリミックス前の曲も収録されており、アルバム・バージョンよりさらにキーボードを強調したサウンドが聞ける。
1984年。ライブ盤。ギターが1人増え6人編成。2000年の再発売盤は6曲多い。
1987年。メンバー全員を入れ替えた。ボーカルはグランプリのロビン・マコーリーに交代。ギター2人の5人編成。ギターを弾き倒すというような曲が少なくなり、普通のハードロックが並ぶ。ボーカルがロビン・マコーリーなのでサビはおおかたコーラスがつく。ギターの演奏よりもメロディーの流れを重視したかのような作風。ヒット性に富んでいる。「フォロー・ザ・ナイト」はいい曲。
1989年。オープニング曲のアルバム・タイトル曲や「デスティニー」はマイケル・シェンカーのギターが強調されており、特にアルバム・タイトル曲はイングヴェイ・マルムスティーンのような演奏だ。この2曲に挟まれている曲は総じてポップな曲調で、キーボードはあまり使っていないものの、当時のアメリカのハードロック・ブームに合ったサウンド。前作よりコーラスが厚くなり、「バッド・ボーイズ」「ホワット・ウィ・ニード」「ゲット・ダウン・トゥ・ビズネス」はサビのコーラスで印象を強くしている。この点はロビン・マコーリーが在籍していたグランプリと同じ。
1991年。ロビン・マコーリーとマイケル・シェンカー以外のメンバーが交代し、ベースはドッケンのジェフ・ピルソン、ドラムはキングダム・カムのジェイムズ・コタック。4人編成。「パーフェクト・タイミング」のようなサウンド。ロビン・マコーリーのボーカルは安定性があるがやや単調か。前作ほどポップではない。
1992年。日本独自盤。アコースティック・ギターによる6曲入り企画盤。「セイヴ・ユアセルフ」から2曲、「M.S.G.」から3曲、アルバム未収録曲1曲。
1992年。邦題「神々の饗宴・M.S.Gライブ!!」。
1993年。ライブ盤。
1996年。再びメンバーを全員入れ替え、ベースとドラムはイングヴェイ・マルムスティーンのメンバー。4人編成。ボーカルはハスキーな声で淡白に歌う。90年代以降のマイケル・シェンカーはハードロックの最前線に出ることがなく、マイケル・シェンカー以外のハードロック・ファンにサウンドで大きなインパクトを与えることはなかった。その中でインスト曲の「エッセンス」は久しぶりによく弾いており、途中でバッハのトッカータの一節を使用している。キーボードや制作上の装飾をあまり使わないシンプルなサウンド。明るさ、ストイックさ、躍動感よりもリラックスした印象だ。日本盤はボーナストラックで「イントゥ・ジ・アリーナ」「クライ・フォー・ザ・ネーションズ」の再録音収録。
1999年。ドラム以外のメンバーを入れ替え、ギター兼キーボードも加入、5人編成。ボーカルのケリー・キーリングは前任者より力強く歌う。アーテンションのジョン・ウェストに似ている。ギターも2人いるのでサウンド全体の厚みは増している。キーボードはほとんど出てこない。同じような曲が多いことと印象的な曲が少ないことが難点。
1999年。ライブ盤。
2001年。メンバーを全員入れ替えた。ドラムはレーサーXのボーカルでバッドランズのドラムのジェフ・マーティン。4人編成。「リトゥン・イン・ザ・サンド」以来、ボーカルの特徴は変わっておらず、今回もややハスキーな声でアーテンションのジョン・ウェストに似ている。前作よりさらにハードで、ハードロックと呼べるサウンドになってきた。ギターの音も太い。「アイズ・オブ・ア・チャイルド」はすばらしい。
2003年。ベースとドラムが交代。ベースはスティーブ・ヴァイのスチュワート・ハム。「リトゥン・イン・ザ・サンド」に近い。11曲のうち4曲はリード・ギターがナイト・レンジャーのジェフ・ワトソン。意欲減退か。
2005年。カバー曲集。
2006年。
2008年。
2011年。ソロ作。