1969年。邦題「レスリー・ウェストとマウンテン」。レズリー・ウェストがボーカルとギター、フェリックス・パパラルディがベースとキーボードを務め、ドラムが加わるトリオ編成。キーボードはベースと同時に演奏されているので多重録音している。レズリー・ウェストのリズム&ブルースのようなボーカルが目立つ。「ブラインド・マン」「ミルクとハチミツの夢」はクリームのようなギターが聞ける。ザ・バンドの「火の車」のカバーはソロボーカルだとメロディーが固定されてしまい、かえって印象は軽くなる。このアルバムを出した後ウッドストックに出演している。
1970年。邦題「勝利への登攀」。キーボード奏者が加入しドラムが交代、4人編成。フェリックス・パパラルディがボーカルもとるようになり、「想像されたウエスタンのテーマ」「支配者」でリードボーカルをとる。オルガンとベースの歪みがハードロック、ヘビーロックらしさを増している。オープニング曲の「ミシシッピー・クイーン」「君がすべて」は豪快、「バンドの少年」などはギターが繊細だ。「ヤスガーの農場」はウッドストックの会場となった場所のこと。
1971年。邦題「マウンテン3」。「君は俺のもの」「アニマル・トレーナー」「偉大なる列車強盗」がピアノとスライドギター風のギターを使い、アメリカのロックバンドらしさが出ている。「ドント・ルック・アラウンド」はイギリスのハードロックのような音で、ベース、ドラム、キーボードもいい音だ。「暗黒への旅路」も音を深めにしており、フェリックス・パパラルディのプロデューサーとしての能力の高さがよく分かる。タイトル曲も粘り気のあるギターだ。
1971年。邦題「マウンテン・ライブ/悪の華」。A面をスタジオ録音、B面をライブ録音とする。「王様のコーラール」から「最後の冷たいキス」への流れは前作の「タウンタ」から「ナンタケット・スレイライド」に似ている。「誇りと情熱」は構成を練られて作られたようなプログレッシブ・ロック寄りの曲だ。B面の「幻想の世界」はギターソロ、「ベートーベンをぶっ飛ばせ」、「ミルクとハチミツの夢」などを連続で演奏する24分のライブ。「ミシシッピー・クイーン」は途中でクリームの「政治家」のメロディーを挟んでいる。スタジオ録音は「暗黒への旅路」のような
1972年。ライブ盤。A面は3曲、B面は「ナンタケット・スレイライド」のみ。「クロスローダー」と「ナンタケット・スレイライド」はベースが目立ち、「クロスローダー」ではメーンのギター、「ナンタケット・スレイライド」では2本目のギターとして機能している。このアルバムで解散。
1973年。邦題「栄光のマウンテン」。ベスト盤。「ベートーベンをぶっ飛ばせ」はチャック・ベリーのカバー。
1974年。邦題「異邦の薫り(ライヴ・イン・ジャパン)」。ライブ盤。2枚組。再結成しているが、ドラムとキーボードは交代している。「ナンタケット・スレイライド」は2枚目全体を使って32分。「ギター・ソロ」は「ジングル・ベル」が出てくるが、ライブは夏だった。
1974年。邦題「雪崩」。キーボードはフェリックス・パパラルディが兼任し、ギターが加入している。かつてあったブリティッシュ・ハードロックの要素は少なくなり、サザンロック寄りになっている。「サディスファクション」はローリング・ストーンズのカバーだが、それほど出来はよくない。B面のギターや「ユー・ベター・ビリーブ・イット」のベースは目を引く。
1985年。邦題「風林火山」。ボーカル兼ギターのレズリー・ウェスト、ドラムのコーキー・レイングが、コロシアム、テンペストのベースのマーク・クラークとともに再々結成。曲のほとんどをレズリー・ウェストとコーキー・レイングが共作している。80年代のハードロックの流行に合わせたサウンドで、70年代の古風なサウンドではない。レズリー・ウェストのギターは通常のハードロックの中でソロを弾く。ファイアフォールのチャック・カークパトリック、カフ・リンクスのロン・ダンテがコーラスで参加。「ハード・タイムズ」「スパーク」収録。
1995年。ベスト盤。2枚組。「勝利への登攀」は9曲のうち7曲、「マウンテン3」は9曲のうち8曲選ばれている。「トーキング・トゥ・ジ・エンジェルズ」「ソリューション」は新曲。レズリー・ウェスト、コーキー・レイング、ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンスのノエル・レディングで録音している。
1996年。「風林火山」のメンバーで録音。一般的なロックバンドのサウンド。レズリー・ウェストでなければできないギターもほとんどない。タイトル曲はジェームス・ブラウンのカバー。
2002年。
2007年。全曲がボブ・ディランのカバー。