MOTT THE HOOPLE/MOTT/BRITISH LIONS

  • イギリスのグラムロックバンド。キーボードを含む5人編成。
  • ボーカルのイアン・ハンターが人気の中心。デヴィッド・ボウイ、T・レックスに次ぐグラムロックの有名バンド。
  • 1972年の「すべての若き野郎ども」から「74年の「ロックン・ロール黄金時代」までが全盛期。
  • 「すべての若き野郎ども」は当時世界的に売れていたデヴィッド・ボウイが提供した曲。
  • イアン・ハンター脱退後はモットに改名したが失速している。ブリティッシュ・ライオンズはモットのメンバーを中心に結成されている。

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WALKIN' WITH A MOUNTAIN:THE BEST OF MOTT THE HOOPLE 1969-1972

モット・ザ・フープルは1969年にデビュー。キーボードを含む5人組で、ボーカルのイアン・ハンター、ギターのミック・ラルフスが中心。72年までのアイランド・レコード時代にアルバムを4枚出している。このベスト盤はその4枚とアイランド・レコード時代のシングル、未発表曲集から18曲を選んでいる。各アルバムから3、4曲収録されているが、2枚目の「マッド・シャドウズ」と3枚目の「ワイルド・ライフ」が名作であることは容易に分かる。イアン・ハンターがボブ・ディランに影響を受けているというのはこのベスト盤で明確になっており、「ロード・トゥ・バーミンガム」はそっくりだ。

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ALL THE YOUNG DUDE

1972年。邦題「すべての若き野郎ども」。アルバムタイトル曲をデビッド・ボウイが作曲しヒット。ミック・ラルフスが歌う「レディ・フォー・ラブ」はフリーのような曲。最後の「潜水夫」はストリングスの入ったバラードで、後半に名曲が並ぶ。サックスはデヴィッド・ボウイ。

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MOTT

1973年。邦題「革命」。オープニングの「メンフィスからの道」と「ホナルーチ・ブギ」がヒットし、アルバムはバンド最高の全英7位。「魔女」はピアノとシンセサイザーをうまく使い分け、「野郎どもの讃歌」は壮大なイントロで入り女性コーラスも使う名バラード。最高傑作。

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THE HOOPLE

1974年。邦題「ロックン・ロール黄金時代」。ギターのミック・ラルフスが抜けアリエル・ベンダーが加入。キーボードも入れ替わった。前作と同様。「ロックン・ロール黄金時代」と「土曜日の誘惑」がヒット。「土曜日の誘惑」では「シュガー・ミー」のリンジー・ディ・ポールが参加。

LIVE

1974年。邦題「華麗なる煽動者」。ライブ盤。

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DRIVE ON/MOTT

1975年。イアン・ハンターとギターのミック・ロンソンが抜け、バンドは解散状態になった。残りのメンバーは新たにボーカルとギターを入れ、バンド名をモットとしてアルバムを制作。新ボーカルはイアン・ハンターよりも声が高い。以前のアルバムによく入っていたサックスや女性コーラスがなくなったため、キーボード入りのブリティッシュ・ハードロックになっている。「モンテカルロ」は声域の広さを生かした曲。ロックン・ロール路線は変わらず。

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SHOUTING&POINTING/MOTT

1976年。邦題「華麗なる襲撃者」。アルバムタイトル曲をはじめとして、「嵐のロックン・ロール」など名曲の多いアルバム。モット・ザ・フープルは、1969年のデビューからモットと名前を変えた「華麗なる襲撃者」までが連続したバンドの歴史ととらえられているが、サウンドの方向の変化を見れば、モット・ザ・フープルとしての歴史は「華麗なる煽動者」で終わり、モットとブリティッシュ・ライオンズが連続したバンドだ。後者はブリティッシュ・ハードロックだが、キーボードが活躍することとロックン・ロールタイプであることが過小評価につながっている。むしろブリティッシュ・ハードロックの本道を行くのはこういったタイプのバンドであって、グラム・ロックをうまく吸収したロックとして高く評価するべきだ。

 
GREATEST HITS

1976年。邦題「黄金の軌跡」。ベスト盤。シングルで発表された「フォクシー・フォクシー」と、ミック・ロンソンがギターを弾く唯一のスタジオ盤「モット・ザ・フープル物語」を収録。

 
BRITISH LIONS/BRITISH LIONS

1977年。MOTTのボーカルが抜け、新たにメディシン・ヘッドからボーカル兼ギターが加入した。したがって、キーボード入りでツイン・ギターになった。サウンドでもそれを生かしてツイン・リードギターが頻繁に出てくる。オープニングの「ワン・モア・チャンス・トゥ・ラン」は名曲で、キーボードには「華麗なる襲撃者」のフレーズが再利用されている。「インターナショナル・ヒーローズ」はシン・リジーばりのギターユニゾン。

 
TROUBLE WITH WOMAN

1978年。ややこぢんまりとしている。ギターが抑えられ、ハードではなくなった。ニューウェイブの影響を受けたかもしれないというサウンド。