1983年。ボーカル兼キーボードのアラン・ジュールゲンセンとドラムのステファン・ジョージのグループ。アメリカ出身。キーボードを中心としたポップスで、アラン・ジュールゲンセンが全曲を作曲し、ボーカルをとっている。9曲のうち7曲はゲスト・ミュージシャンを招いてバンドサウンドにしている。ほとんどの曲がヒット性のあるメロディアスな曲。ドイツ盤は曲順、アルバムタイトルが異なる。
1986年。アラン・ジュールゲンセンのプロジェクトとなった。ポップなメロディーが少なくなり、リズム、ビートを強調した作風。機械的な打突音がほとんどの部分で流れる。ゲスト・ミュージシャンもほとんど使わず、アラン・ジュールゲンセンが1人で操っているようなサウンド。ロックと感じるには無理がある。
1988年。ベースが加入し2人組になった。一部でロックらしいギターの音が入り、エレクトロ・ポップからロックに移行しようとしている。キーボードの才能をメロディーではなくリズムに発揮している印象。
1989年。前半はヘビーメタルのギターを大きく取り入れ、スラッシュメタルのようなサウンド。エレクトロ・ロックからエレクトロ・ヘビーメタル、エレクトロ・スラッシュメタルになった。このアルバムはヘビーメタル・ファンでもかなりの人気を得た。後半は同じリズムを反復する時間が長い。
1990年。ライブ盤。
1992年。邦題「詩篇69」。サウンドはスラッシュメタル寄りのヘビーメタルで、これを実際のバンドで実現すれば名盤と呼ばれうる。ギター、ドラムの一部は実際に楽器を演奏しており、破壊的なサウンドをいっそう強めている。多くの曲にスラッシュ・メタル、デス・メタルのようなボーカルもあるので、ヘビーメタルの名盤としても通用する。「ジーザス・ビルト・マイ・ホットロッド」はビーチ・ボーイズの「バーバラ・アン」とジャン&ディーンの「バケットT」、もしくはトラッシュメンの「サーフィン・バード」を意識したような曲。
1996年。スピードはやや落ち、サウンドも時代の影響を受けたようなヘビーメタル。機械による人工的な音は少なく、実際のヘビーメタルに多少加工された音が混じっているような印象。「レイ・レイディ・レイ」はボブ・ディランのカバー。
1999年。ミニストリーは、ロックの新しい形態を示したわけではなく、従来あったスラッシュ・メタルに機械的な音を付加し、スラッシュ・メタル、ヘビーメタルの可能性を広げた。ロックの新しい形態を作ったのはナイン・インチ・ネイルズの方であったと思われる。基本となるサウンドはラウド・ロックで、後半はジャズ風になる。
2002年。ライブ盤。
2003年。前作と同路線。ボーカルが入った曲は少ない。
2004年。ヘビーメタルとしても高く評価されうるすばらしい出来。ギターはほとんどがギター奏者の音で、ドラムは4曲がドラム奏者、7曲はプログラミングで行っている。人が演奏しても機械が演奏してもサウンドは変わらない。オープニング曲はオルフの「カルミナ・ブラーナ」を使用。ジャズやフュージョンのような雰囲気はなく、すべてがヘビーメタル、ラウド・ロックだ。「詩篇23」はヘビーメタルだが、「ウォーラス」はほとんど効果音のような曲。
2006年。ジャケットも含めて、最初から最後までブッシュ・アメリカ大統領とイラク戦争を非難したアルバム。歌詞も直接的だ。サウンドも攻撃的で、ほとんどの曲がアップテンポだ。アラン・ジュールゲンセンが1人ですべての楽器を演奏している曲もあるが、ギター、ベース、ドラムをほぼ固定したメンバーで演奏している曲の方が多い。
2007年。「リオ・グランデ・ブラッド」のダブ・リミックス盤。ダブなのでドラムとベースにあたるサウンドはリズム・マシーンでハードに作られている。
2007年。「リオ・グランデ・ブラッド」と同じサウンド。ドラムもベースも人が演奏すれば、ハードで高揚感の大きいヘビーメタルだ。インダストリアル・ロックなので、ドラムは明らかにリズム・マシーンだと分かるサウンドになっている。ほとんどの曲が3分から5分で、最後の「エンド・オブ・デイズ」はパート1とパート2に分かれ、計14分。このアルバムがミニストリーとして最後のアルバムになることが公言されていた。「ロードハウス・ブルース」はドアーズのカバー。
2008年。カバー曲集。ローリング・ストーンズの「アンダー・マイ・サム」、T・レックスの「ゲット・イット・オン」、エイプリル・ワインの「レーダー・ラヴ」、ラム・ジャムの「ブラック・ベティ」、ブラック・サバスの「スーパーノート」、ルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界」等をカバーしている。マウンテンの「ミシシッピー・クイーン」は原曲のかっこよさには遠く及ばない。
2012年。