1991年。ボーカル兼ギター2人を含む4人編成。スウェーデン出身。ボーカルはメタリカのジェイムズ・ヘットフィールドと同じ声と歌い方。バックの演奏はパンテラが変拍子を使っているようなサウンド。変拍子に対応できる程度の演奏力なら取り立ててどうこうということはなく、もう少し工夫がほしいところだ。日本盤は次作の「デストロイ・イレイズ・インプルーブ」と同時発売。
1995年。ギターが1人増え5人編成。前作と同路線。完成された曲では個々の楽器が同時に演奏されているので、ギターとドラムのリズムが異なっているように聞こえていても、レコーディングでも同時にやっているとは考えにくい。技術の高さによってスリルを感じさせることはロックなら70年代から行われ、ジャズならいつからやっているのかさえ分からないほどスタンダードな手法だ。それをデス・メタルでやっても目新しさに欠ける。技術的に優れているかどうかとは別の問題だ。逆説的には、技術がない方がスリルがある。
1999年。ハードになり、ボーカルがハードコア風。この手のジャンルが注目されるようになったので、ラウド・ロック風になったとも言える。人工的な効果音もあり、フィア・ファクトリー等の流行を参考にしたと考えられる。
2001年。新曲1曲、デビューEPの3曲、デモ・バージョン2曲、ミックス違い1曲、未発表3曲。新曲は高速。
2002年。前作とは対照的に、メシュガーにしてはシンプルなサウンドだ。変拍子は従来通り使っている。スピードやハードさよりも分かりやすい変拍子を聞かせようとしたようにも見える。以前からあまりギターソロのようなメロディーは少なかったが、今回はさらに少ない。
2005年。13曲で47分あるが、曲はずっとつながっている。アルバムの前半は1分台が多く、後半になると13分、7分の長い曲が出てくる。これまでと同様、人間のリズム感覚をわざと狂わせるような演奏で進んでいく。このようなリズムを「ジャズ・フュージョン風」と理解するのはやや思考停止気味で、複雑な構造を「高度」と解釈する白人由来の指向性とする方が理解しやすい。後半の長い曲ではキング・クリムゾンを思わせる雰囲気がある。
2008年。ベースが加入し5人編成。前作より分かりやすい作風。最後の曲のみ9分半で、それ以外はおおむね4分から5分。曲も明確に分離しており、それぞれが独立した曲となっている。もともと大きな大衆性を得るサウンドではなかったが、それでも一般的なメタルコアに近いサウンドになっており、肉体的な刺激を求めるロックファンには聞きやすくなったのではないか。
2008年。「ナッシング」のリミックス盤。既存の曲の再編集に抵抗がない点はポストロック的であると言える。
2012年。邦題「伏魔殿」。前作と同様、受け入れられやすいリズムとメロディー。ドラムとベース、またはドラムとベースとリズムギターが独自に曲を構成し、リードギターが別のリズムで重なってさらに別の曲を作っている。確実にリズムを取れる演奏技術があってこそ可能なサウンドをやっている。全曲が4分以上7分以下に収まっているのも、構成以前の編曲能力だと言える。