MERCYFUL FATE/KING DIAMOND

  • デンマークのヘビーメタルバンド。ボーカルのキング・ダイアモンドを中心とする。
  • キング・ダイアモンドのホラー趣味を前面に出したヘビーメタルで、高音のボーカルが強い印象を与える。
  • 代表作は「冥界の予言者」「ドント・ブレイク・ジ・オース」「フェイタル・ポートレイト」。

 
THE BIGINNING

1982年。デビュー時のミニ・アルバムにシングルを追加した企画盤。87年発売。

1
MELISSA

1983年。ギター2人の5人組。デンマーク出身。ボーカルのインパクト絶大。ハイトーンをこれほどうまく使いこなす人はいない。そのバックで演奏されるツインギターのすばらしい楽曲。全曲を作曲しているギターのハンク・シャーマンはヨーロッパ・ヘビーメタルに与えた影響は大きい。「イーブル」「カース・オブ・ザ・ファラオス」「ブラック・フューネラル」収録。83年から84年は第一次北欧メタル・ブームだが、そこから登場したハードロック・バンド群とは明確な一線を画す。

2
DON’T BREAK THE OATH

1984年。ベースが交代。楽曲の充実度において前作を大きく上回るアルバム。キーボードをほどよく導入し、雰囲気のおどろおどろしさに拍車をかけている。オープニング曲の「ア・デンジャラス・ミーティング」は傑作。同時代の英米のヘビーメタル・アルバムと比較しても、特異さとクオリティを両立した点で歴史に残る。「ジプシー」「カム・トゥ・ザ・サバス」収録。

3
FATAL PORTRAIT/KING DIAMOND

1986年。ボーカルのキング・ダイアモンドが脱退して新たに結成したのがキング・ダイアモンドで、マーシフル・フェイトのベースとギターのマイケル・デナーがそのまま横滑り。ドラムと新しいギターは元スウェディッシュ・エロチカ。マーシフル・フェイトとほとんど変わらないサウンド。「ザ・キャンドル」「カロン」「ハロウィーン」収録。ボーナストラックの「ノー・プレゼンツ・フォー・クリスマス」はクリスマス・ソング。

4
ABIGAIL/KING DIAMOND

1987年。邦題「冥界の予言者」。コンセプト盤になっており、一般には最高傑作とされている。18世紀末から19世紀にかけてのヨーロッパ世界を舞台にしたホラー性の強い物語。主人公の名前のつけかたにアーサー王物語の影響が感じられる。曲が悪魔的一辺倒ではないところが物語性を強く引き立てている。ボーカルの多重録音が凝ってきた。

5
THEM/KING DIAMOND

1988年。ギターとベースが交代。マーシフル・フェイト時代のメンバーはキング・ダイアモンド以外誰もいなくなった。今回もアルバム全体が一つの物語をなす。SEにも手を抜かなかったため、最後の曲は本当に怖さを増幅させる。有名なホラー映画のメロディーも出てくる。発売当時の日本盤帯にある「ホラー・メタルの決定版」に偽りはない。

THE DARK SIDES/KING DIAMOND

1988年。6曲入り企画盤。「ノー・プレゼンツ・フォー・クリスマス」が初めて日本盤化された。

6
CONSPIRACY/KING DIAMOND

1989年。邦題「陰謀」。ドラムが抜け4人組になった。キーボードの使用が目立ち始める。ソロを取る曲もある。「”エイモン”ビロングス・トゥ・”ゼム”」は前作のストーリーの続編。「ザ・ウェディング・ドリーム」のイントロはワーグナーの歌劇「ローエングリン」の「婚礼の合唱」を使用。

7
THE EYE/KING DIAMOND

1990年。ドラムが加入し5人編成でレコーディング。中世フランスの魔女狩りをテーマとしている。初期のような鋭いギターは望めないがハードロックとしては水準以上。

 
IN CONCERT 1987:ABIGAIL/KING DIAMOND

1991年。「冥界の予言者」のときのライブ。ボーカルが聞こえにくい部分がある。

RETURN OF THE VAMPIRE/KING DIAMOND

1992年。未発表デモ音源集。

 
A DANGEROUS MEETING/KING DIAMOND

1992年。マーシフル・フェイト、キング・ダイアモンドが1983年から90年までに残したアルバムから選曲したベスト盤。

8
IN THE SHADOWS

1993年。再結成。ドラムはキング・ダイアモンドと同じで、ギター2人とベースはかつてのマーシフル・フェイトのメンバー。キング・ダイアモンドとは違い、キーボードはほとんど使われず、2人のギターを中心に曲ができている。歌詞にも連関した物語はなく、一曲一曲が個別の独立した歌詞を持っている。「イズ・ザット・ユー、メリーサ」で再び「メリーサ」を持ち出してきた。ボーナストラックの「リターン・オブ・ザ・ヴァンパイア...1993」のドラムはメタリカのラーズ・ウルリッヒが演奏。

9
TIME

1994年。邦題「魔の刻」。いつもどおりの出来だが、マンネリ化しているきらいもある。デビュー当時は悪魔的なおどろおどろしさを純然たるスピーディーなヘビーメタルで表現していたところに斬新さがあった。当然ボーカルの特異さもあった。ハードさが少なく感じられるのは時代を経てハードさの基準が厳しくなったからなのか。それともゆっくり演奏するという時代の流行なのか。

10
THE SPIDER’S LULLABYE/KING DIAMOND

1995年。ボーカルとギターの1人以外を入れ替えた。マーシフル・フェイト再結成後初めて出たキング・ダイアモンドのアルバム。中心人物のキング・ダイアモンドが説明するまでもなく、アルバムを聞けば、マーシフル・フェイトが曲中心、キング・ダイアモンドが物語中心ということが分かる。マーシフル・フェイトの曲に余計な効果音は入らない。

11
INTO THE UNKNOWN

1996年。オープニング曲がプロローグのようになっていて、キング・ダイアモンドに近づいたかと思ったら全体としてはまだ楽曲優先の作りだ。ただ、これまでになかったようなフレーズなりサウンドなりが頻繁に出てくる。暗いサウンドを持っていたころのドリーム・シアターにも近い。ご多分に漏れず時代の流行を取り入れたとも言える。「クトゥルー」で初めてデス声も導入した。ジューダス・プリーストの「ザ・リーパー」のカバー収録。

12
THE GRAVEYARD/KING DIAMOND

1996年。 音楽の流れからして一回聞いただけでストーリーがあることを認識できる。テーマは「幼児に対する性的虐待」で、ここでは虐待する側が市長になっている。このアルバムの7年後には、教会の司祭が同様の問題で全米規模の事件が発覚する。この司祭は服役中に他の服役囚に集団暴行で殺された。キング・ダイアモンドのアルバムにしてはシンプルな音づくりで、キーボードはほとんど使われない。

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VOODOO/KING DIAMOND

1998年。前作とは違い、比較的創作性の高い物語。別の教訓や示唆を与えるものではない。効果音は適宜使用している。アメリカに住むキング・ダイアモンドと、いまだ北欧に住むギターのアンディ・ラロックのメロディーの違いが判別できる。ヘビーメタルとしては久々によくできている。パンテラのギター、ダイムバック・ダレルが参加。

14
DEAD AGAIN

1998年。初めて13分の大作が入っている。マーシフル・フェイトとキング・ダイアモンドの違いについて、ボーカルのキング・ダイアモンドは「楽曲優先か物語優先か」と説明している。端的に言えば「音楽中心か文学中心か」ということである。物語が優先されるキング・ダイアモンドの場合、歌詞の内容に具体性を持たさなければならないため、殺しただの食っただの焼いただのと、行為自体の恐ろしさを強調する傾向がある。マーシフル・フェイトの場合、悪魔だの異端だののろいだのと宗教を背景にした心理的怖さを歌うことが多くなる。キリスト教文化をあまり持たない日本人にとっては、どっちが怖いのか、あるいはどう怖いのかを実感しにくいのは否めない。欧米人はマーシフル・フェイトとキング・ダイアモンドの違いをもっと明確に区別できているのかもしれない。

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9

1999年。オープニング曲からこれまでで最もハードな曲が流れる。サウンド全体としても過去最高のアグレッシブさ。マノウォーやグレイヴ・ディガーがやるような重厚な曲が多い。

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HOUSE OF GOD/KING DIAMOND

2000年。アルバムのほとんどの部分はこれまで通りのサウンド。「ディス・プレイス・イズ・テリブル」はジューダス・プリーストの「ヘル・ベント・フォー・レザー」を思い出させる。最後のインストはアンディ・ラロックの作曲で、キング・ダイアモンドとしては異例の終わり方。

BLACK ROSE:20 YEARS AGO-A NIGHT OF THE REHEARSALS

2001年。キング・ダイアモンドがマーシフル・フェイトを結成する以前に組んでいたバンドのリハーサル。

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ABIGAIL II :THE REVENGE/KING DIAMOND

2002年。「冥界の予言者」の続編。最初の構想で既に続編を作る計画があったのかどうかは分からないが、十数年経っての続編は、多作であるキング・ダイアモンドにも煮詰まりが出ているのかと疑われる。しかし、内容は充実。

18
THE PUPPET MSTER/KING DIAMOND

2003年。

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GIVE ME YOUR SOUL...PLEASE/KING DIAMOND

2007年。