ROLAND GRAPOW/MARKUS GROSSKOPF/MASTERPLAN

  • ローランド・グラポウは「ピンク・バブルス・ゴー・エイプ」から「ザ・ダーク・ライド」までハロウィンのギタリスト。ソロ活動の後マスタープランを結成。
  • マスタープランではハロウィンよりも硬めでドラマティックなサウンドを作っている。

1
THE FOUR SEASONS OF LIFE

1997年。イングヴェイ・マルムスティーンに影響を受けた演奏をハロウィン時代からやっていたが、初のソロ・アルバムでも同じサウンドを出している。イントロから続くオープニング曲ではやくもイングヴェ・マルムスティーンと同じパガニーニの奇想曲の一節を用いている。ローランド・グラポウはボーカルも担当。ドラムはハロウィンのウリ・カッシュ、ベースもハロウィンのマーカス・グロスコフ、キーボードはラフ・シルクのメンバー。ガンマ・レイのラルフ・シーパーズ、アクセル・ルディ・ペルが参加。グリーグの「山の魔王の宮殿にて」の一節も使っている。

 
I REMEMBER

1997年。シングル。新曲2曲はアルバムに入れるべきだった。カンサスの「ホールド・オン」をカバーしている。

2
KALEIDOSCOPE

1998年。ボーカルはイングヴェイ・マルムスティーンのマイク・ヴェセーラ、ドラムはレイジのマイク・テラーナ。クラシック色は薄くなり、メロディアスなヘビーメタルになった。クラシック風のギタープレイなのは「リーチング・ハイヤー」くらいだ。前作はボーカルも含めて個人の趣味を大きく出していたが、このアルバムはバンドとしてのまとまりがあって、アルバムの質にも力を入れている。「リッスン・トゥ・ザ・リリックス」のキーボードはヤンス・ヨハンソン。日本盤ボーナストラックはジャーニーの「セパレート・ウェイズ」のカバーを収録。

 
MASTERPLAN/MASTERPLAN

2003年。ハロウィンのギター、ローランド・グラポウ、ドラムのウリ・カッシュ、ヨルン・ランデが中心のバンド。キーボードはチルドレン・オブ・ボドムのヤンネ・ウィルマン。ハロウィンに見られる曲の親しみやすさはなく、キーボード入りのオーソドックスなヘビーメタルをやっている。ボーカルの実力は一級。元ハロウィンのマイケル・キスクがゲスト参加。個々のメンバーのレベルが高いため、アルバムの質も高く、曲も充実している。ただ、オーソドックスな作りが逆に個性を見えにくくしているとも言える。

 
AERONAUTICS/MASTERPLAN

2005年。キーボードが交代。個々のメンバーが自分の主張を出そうとせず、いい曲を作ることを優先させたと思われる。サウンドはヨーロッパ型のヘビーメタルで、キーボードがギターと同じくらいにメロディーを主導する。メンバーだけで録音され、ヨーロッパ型ヘビーメタルのファンが、そうあってほしいと思うレベルの曲とサウンドを持つ。

MK II/MASTERPLAN

2007年。ボーカルがライオットのマイク・ディメオ、ドラムがレイジのマイク・テラーナに交代。ギターとキーボードが主導するヘビーメタルに変わりはない。空間のほとんどをギターとキーボードが埋めているが、大仰なサウンドにはならない。マイク・ディメオのボーカルはライオット時代よりもよくなっている。

TIME TO BE KING/MASTERPLAN

2010年。ボーカルにヨルン・ランデが復帰。ヨルン・ランデとローランド・グラポウ、キーボードのアクセル・マッケンロットの3人がほとんどの曲を共作している。ボーカルが変わり、力強いロニー・ジェイムス・ディオが歌っているような印象。ギター、キーボード中心のドラマティックなヘビーメタルは変わらない。安定したボーカルと演奏だ。

 
NEW PROTECTION/RIDE THE SKY

2007年。ガンマ・レイ、ハロウィン、マスタープランのドラム、ウリ・カッシュが結成したバンド。キーボードを含む5人編成。ギターはヨハンソン、キーボードはストームウィンド、ディオニソスのメンバー。ボーカルとギターは兄弟で、この兄弟とウリ・カッシュの3人が作曲していることが多い。ヨーロッパのヘビーメタルでは一般的になったサウンドで、そうした意味では期待通り、別の意味では驚きの少ない内容だ。ウリ・カッシュはハロウィン時代に、ドラムとは思えない作曲能力で評価を得た人だ。当然期待するレベルも高くなるが、ボーカルの声域もあっていま一歩のところだ。ヨーロッパのヘビーメタルはかなりの数のアーティストが登場しており、いい曲を揃えても聞き手が満足しなくなっているところがつらい。「ア・スマイル・フロム・ヘヴンズ・アイ」はハロウィンを思わせるメロディー。

 
SHOCKMACHINE/SHOCKMACHINE

1999年。ハロウィンのベース、マーカス・グロスコフが参加しているバンド。4人編成で、マーカス・グロスコフはベースとギターを弾いている。ドラムはハロウィンのウリ・カッシュ。ベースが特に強調されているわけではなく、あくまでもバンドとしてのサウンドになっている。ボーカルはパワフルに歌う。オーソドックスなハードロックだが、ハロウィンのメンバーが2人かかわっていること以外は突出した特徴はない。曲の版権は日本のレコード会社が持っている。

 
HELLBASSBEATERS/MARKUS GROSSKOPF'S BASSINVADERS

2008年。ハロウィンのベース、マーカス・グロスコフが、ヘビーメタルの有名ベース奏者と共演したアルバム。ギターは使われず、ベースがギターの役割を担っている。ギターが2人いるバンドのギターがベースに入れ替わり、ベースが3人いるような編成で録音されている。レイジのピーヴィー、ソドムのトム・エンジェルリッパー、デストラクションのシュミーアはボーカルとしても参加。MR.BIGのビリー・シーン、ディオ、ホワイトスネイクのルディ・サーゾ、オーヴァーキルのD.D.ヴァーニ、アクセプトのピーター・バルテス、ピンク・クリーム69のデニス・ワード、ガンマ・レイのダーク・シュレヒター、アーマード・セイントのジョーイ・ヴェラ、DADのスティ・ペダーセン等が参加している。ハロウィンよりもハードなヘビーメタルで、トム・エンジェルリッパーやシュミーアが加わると硬質のスラッシュメタルに近くなる。ハロウィンのメンバーによるハロウィン以外のアルバムでは曲も演奏もすばらしい。