1992年。邦題「伝承」。速弾きギタリストの発掘をしていたマイク・バーニーがプログレッシブ・ハードロックのレーベル「マグナ・カルタ」を設立。第一弾アーティストとしてデビューさせたのがマジェラン。非常に質が高かったので、デビューしたてのドリーム・シアターのような音を求めていたファンに歓迎された。冒頭から14分の「マグナ・カルタ」で始まる。歌詞はイギリスの大憲章そのまま。「ユニオン・ジャック」はフォークランド紛争。リック・ウェイクマンのごとく歴史趣味丸出し。それまでのプログレッシブ・ロックにありがちな、キーボードによるオーケストレーションで曲全体を覆い尽くすことをせず、音のすばやい転換と明瞭なメロディーでアルバム全体を引き締めている。後続アーティストの手本となった。
1993年。邦題「殉難の未来」。前作の裏ジャケにはウィンストン・チャーチルの言葉が書かれていたが、今回はスリーブにシェイクスピアがある。引き続き歴史をテーマにした曲が多いが、現代史が出てくるあたりがアメリカのバンド。「ソングスミス」は面白い。またドラマー不在。
1997年。邦題「試考」。時代の影響を受けたと見られるギター・サウンドもあるが、基本的に路線変更なし。しかし、詩は難しくなった。ドラマーが決まり、サウンドに生っぽさがある。フルートはジェスロ・タルの影響が濃い。
2002年。マジェランはトレント・ガードナーとウェイン・ガードナーの兄弟が中心のグループだが、このアルバムはベトナム戦争で死亡した長兄のことをテーマにしている。地雷が爆発して死亡したと詩に書いてある。CDでは15曲入っていることになっているが、クレジットは3曲で、1曲目は34分。一貫しているのは家族愛、兄弟愛。最後にトレント・ガードナーのコメントが入っている。34分もの曲を疲れさせることなく聴かせることができるのはこのバンドを含めてそう多くはない。あとの2曲は6分と11分。「ブラザーズ・キーパー」もすばらしい。ジェスロ・タルのイアン・アンダーソンがフルートで、3のロバート・ベリーとキング・クリムゾンのトニー・レビンがベースで参加。ドラムはジョー・フランコ、バイオリンは演奏者のクレジットがない。
2003年。世界中にあるいろいろな人工物、自然事象、造形芸術(まとめてフィギュア)についてトレント・ガードナーが思索をしている。トレント・ガードナーの詩は、常に世界の過去、現在につながっており、「ア・ワールド・グルーブ」はデビュー以来のバンドの視点を象徴している。「バッハ16」のイントロのピアノはバッハのゴールドベルク変奏曲第8番。今回は6分前後の曲が5曲、3分前後が3曲、10分が1曲。インストが4曲。ベトナム戦争で死亡した兄と家族愛、兄弟愛がテーマだった前作に比べ、今回は世界中にテーマが広がっているため、サウンドも雰囲気もバラエティーに富んでいるが、キーボードの使い方やコーラスはこれまで通りで期待を裏切らない。
2005年。
2007年。