リゾはアメリカの女性歌手。1988年生まれ。ヒップホップグループのラッパーとしてデビューし、ソロデビューでもラッパーだったが、2016年にメジャーデビューした際、ポップス歌手に転換した。人種、性別、体型といった視覚的要素で被差別的境遇にありながらも自尊感情を強く肯定し、多くの聞き手に共感をもたらした。
2013年。ソロデビュー盤。
2015年。
2019年。ポップス歌手としてメジャーデビュー。「ライク・ア・ガール」「ソウルメイト」「テンポ」にはラップも出てくるが、多くの部分はメロディーの抑揚が大きいポップス。2分から3分の短い曲が雰囲気を変えて次々に出てくる。オープニング曲のイントロは「オペラ座の怪人」のような厚い音で、アルバムの幕開けを意識している。4曲目までポップにつないでいき、「ジェローム」以降はR&B、ファンク、ヒップホップ、ソウル、ブルースロックなど多様なスタイルが続く。リゾの歌い方は力強く、ソウルの歌い方を踏襲しているようだ。その力強さが自らを肯定しているように聞こえる。スーパーデラックス盤は「ジュース」「ボーイズ」「トゥルース・ハーツ」「グッド・アズ・ヘル」収録。
2022年。シンセサイザーをメインにした80年代ポップス風の曲が増えた。「アバウト・ダム・タイム」「2・ビー・ラヴド」「アイ・ラヴ・ユー・ビッチ」はそのイメージの曲だ。「ブレイク・アップ・トゥワイス」はローリン・ヒルの代表曲「ドゥー・ワップ(ザット・シング)」、「コールドプレイ」はコールドプレイの初期の代表曲「イエロー」、「ガールズ」はビースティ・ボーイズの「ガールズ」、「エヴリバディズ・ゲイ」はリック・ジェームスの「ギヴ・イット・トゥ・ミー・ベイビー」を参照する。他の曲でも70年代から2000年代の曲を使い、ヒップホップのサンプリング文化を継承する。