2007年。4人編成、イギリス出身。楽器の編成はブックレット等に書いていないが、ギター、ベース、ドラム、キーボード奏者が存在していると思われる。最も短い3分台の曲のみインストで、あとの7曲には少なめの歌詞がある。したがって楽器演奏の時間が長い。ギターは音階がなめらかに移行するポルタメントが多用され、キーボード、ストリングスとともに音階があいまいになる。残響も深い。このアルバムもそうだが、同系統のサウンドを持つシガー・ロスも、ほとんどの曲が安静時の人間の脈拍に近いテンポだというところに好感の源があるようだ。「セキュラー・ヴェンチャーズ」はメロトロン(の音)を多用する。「ジーズ・テイルズ・オブ・アワ・ステイ」は後半、大仰に盛り上がる。8曲で48分。
2009年。前作と変わらないサウンド。残響の大きさが音階の移り変わりを覆い尽くし、なだらかな音の波を作っている。ピアノとともに(シンセサイザーであろう)木琴や鉄琴もよく使われる。ボーカルは1990年代半ばによく聞かれた、繊細さを備えたシンガー・ソングライターのような歌い方。最後の曲は11分。11曲で64分。
2010年。「サイエンス・フォー・ザ・リヴィング」に収録されている曲を再編曲した6曲と、新曲6曲の計12曲。このアルバムがイギリス、つまり本国でのデビュー盤となる。「ライク・シー・セッド」「フェイク・ハンドシェイクス、アーネスト・スマイルズ」「デッド・ウェイヴズ」はリズムも含めてキーボードに厚みがある。弾力性が高く、角が取れたニューウェーブのようなサウンドだ。
2012年。ベースが抜け3人編成。アメリカで録音されている。オープニング曲から光が差すような希望にあふれたメロディーだ。「フレンド・オブ・ア・フレンド」も前向き。エレクトロニクスやキーボードによるシューゲイザーのような曲も従来通り含まれるが、以前よりもドラムやビートをはっきり目立たせた曲が増え、「エアリアルズ」「スクラッチーズ」などは浮遊感のあるロックになっている。「セプテンバー・フィフス」は6分半のインスト曲。