2003年。アメリカ・テキサス出身の女性歌手。テレビ番組「アメリカン・アイドル」の初代優勝者。12曲のうち4曲で作曲にかかわっている。有名作曲家のダイアン・ウォーレンやデスモンド・チャイルドも作曲に参加しているほか、クリスティーナ・アギレラとも共作している。ポップス中心で、ソウルやロックに傾いたサウンドではない。最初から聞き手を限定するような音にはしなかったと思われる。「アメリカン・アイドル」は歌唱力だけを問う番組ではないので、驚くようなボーカルというわけではない。バンドサウンドとリズム・マシーンによるサウンドを組み合わせ、メロディー楽器はギター、キーボード、ストリングスを使う。広く人気を得るには最も無難なサウンドで、これが2000年代のオーソドックスなポップスと見ることもできる。「(ユー・メイク・ミー・フィール・ライク・ア)ナチュラル・ウーマン」はアレサ・フランクリンのカバー。全米1位、200万枚。
2005年。前作のイメージを維持しながらロック寄りのサウンドになった。有名作曲家は減り、ケリー・クラークソンの作曲が増えている。エヴァネッセンスのギター、キーボードが作曲に参加。アルバムタイトル曲はアヴリル・ラヴィーンも作曲に関わっている。「アメリカン・アイドル」から出てきたアーティストならば、明るめで理想主義的な歌詞のロックになるところだろうが、サウンドはオルタナティブ・ロックに近い。全米3位、600万枚。
2007年。シングル盤。
2007年。英米に限らず、アイドルとしてデビューしたアーティストが継続して音楽活動を行うには、いずれアイドルのイメージを脱していかなければならない。ケリー・クラークソンにとってはこのアルバムがアイドルとの決別になると思われる。したがって、このアルバムの賛否が大きくなることは発売前から予想され、ある程度の拒否反応が出ることも織り込み済みだろう。アイドルとして見られるアーティストは、一般的なロック、ポップスのアーティストよりもイメージが重視されるが、ジャケットの絡まる蔓枝や葉、ブックレットの濃いアイシャドー、粗野なファッションでアイドルのイメージを転換させる。サウンドも抑揚が少なめで、楽しむロックというよりは内面をさらす手段としてのロックである。暗いというわけではない。全米2位、100万枚。
2009年。ハードロックとも言える思い切ったサウンドの変化だ。ほとんどの曲がバンドサウンドで、ギターはディストーションが大きくかかっている。「ホワイヤワナブリングミーダウン」「ウィズアウト・ユー」「ロング・ショット」はアヴリル・ラヴィーンか、それ以上のハードさだ。R&Bやエレクトロ・ポップ、カントリー・ポップスではないところに意外性とチャレンジ精神がうかがえる。
2011年。