KEANE

キーンはピアノを中心とするイギリスのバンド。当初はボーカル、ピアノ兼ベース、ドラムの3人編成、現在はベースが加わり4人編成。メロディアスで洗練されたサウンドを持つ。普遍性が高い。

1
HOPES AND FEARS

2004年。ボーカル、キーボード兼ベース、ドラムの3人編成。キーボードはピアノ中心。ギターの音は一切出てこない。ベースもほとんどがキーボードで代用されている。ピアノは明るめの音色で、エコーがかかっている。ロックの騒々しさがなく、サウンド全体に澄んだ雰囲気がある。ボーカルの声も高めで、力強さや推進力よりも歌い上げることに主眼を置いている。

2
UNDER THE IRON SEA

2006年。邦題「アンダー・ザ・アイアン・シー・深海」。前作にドラマチックさやサウンドの厚みが加わり、サビのメロディーも覚えやすくなった。コールドプレイからギターを抜いたような曲もある。「イズ・イット・エニー・ワンダー?」はギターを使ったようなイントロで始まり、方向転換かと思わせる。「ハンブルグ・ソング」はドラムが出てこないバラード。「クリスタル・ボール」はいい曲だ。

3
PERFECT SYMMETRY

2009年。ボーカルとキーボードがギターも弾くようになったが、あくまでも補助的な使い方でほとんど目立たない。「アンダー・ザ・アイアン・シー・深海」のメロディーに近く、オープニング曲からキーン特有の急降下旋律が聞ける。キーボード主体のメロディアスなロックバンドのサウンドだ。メロディーが前向きで、聞き手に活力を与える。「ユー・ハヴント・トールド・ミー・エニシング」はマイケル・ジャクソンの「今夜はビート・イット」の基本メロディーを思い出す。

 
NIGHT TRAIN

2010年。邦題「ナイト・トレイン-夜行列車-」。ライブツアーの合間に作曲した8曲を収録。「ルッキング・バック」は映画「ロッキー」のテーマの有名フレーズを使う。「以心電信」はイエロー・マジック・オーケストラのカバーで、日本語の歌詞を日本人女性が外国人のような発音で歌う。ゲストが参加しない曲は従来のキーンのサウンドで、メロディーには安心感を覚える。

4
STRANGELAND

2012年。ベースが加入し4人編成。ギターをほとんど使わなくなり、キーボードとボーカルでメロディーをつくる。メロディーのよさとボーカルのうまさが際だつ。コールドプレイにあるような繊細さよりは、音のぬくもりがある。どの曲もいい曲で、逆に突出した曲が見いだせない。

5
CAUSE AND EFFECT

2019年。長期の活動休止を経て、デビュー盤に近いサウンドで復帰している。ギターをほとんど使わず、キーボード、シンセサイザー、サンプリング。「ザ・ウェイ・アイ・フィール」は復活にふさわしいアップテンポな曲だ。それ以外の曲はミドルテンポが多く、チャーチズのようなボーカルを聞かせるシンセサイザーポップに近い。デビュー時のサウンドに戻すという、復活作の基本を守った。次作でどう展開するかが問題だ。