1993年。ジュノ・リアクターはベン・ワトキンスのプロジェクト。イギリス出身。テクノの下位ジャンルであるサイケデリックトランス、あるいはゴアトランスの代表的アーティストとされる。硬めのエレクトロビートと小刻みなベース音が体の振動、鼓動、連続運動を呼び起こし、感覚を虚ろにする。9曲のうち2曲にボーカルが入っていることになっているが、明確なボーカルではない。日本盤は1997年発売。
1995年。キーボード、シンセサイザーで空間を感じさせる厚い音を加え、メロディーに起伏を持たせた。音に酔う感覚が強くなっている。ジャンルを意識せず、メロディアスで踊りやすいエレクトロ音楽として広く支持されそうなサウンドだ。「サムライ」は日本語の歌詞が付いている。
1997年。パーカッションが活躍する。「コンガ・フューリー」「スワンプ・シング」「カグヤヒメ」はパーカッションがメーンとなって曲に生命感を与える。聞き手の条件反射的なイメージとして、パーカッションが民族楽器や未開社会と結びつきやすいため、ロック側にいる聞き手からは好意的評価を得やすい。
2000年。オープニング曲の「ピストレロ」はスパニッシュギターを使い、ウェスタン映画のサウンドトラックのようなサウンドになっている。「ヒュール・ラム」はパーカッションとボーカルが未開社会の儀礼音楽を思わせる。最後の2曲も呪術風で、エレクトロ音楽としては独自の位置を築いたと言える。
2002年。ベスト盤。「ホタカ」を含む。
2002年。シングル盤。
2003年。EP盤。「ズワラ(スリープウォーカー)」は新曲。「コミット」は映画「マトリックス・リローデッド」用にリミックスしたバージョン。
2004年。「コンキスタドール」はスペイン人による中南米侵略者を意味するため、サウンドにもスパニッシュギターが多用され、「コンキスタドールI」では中世カトリックの修道院風、「コンキスタドールII」では中南米の民族音楽風となっている。
2008年。9曲のうち6曲に歌詞があり、これまでのサウンドとはかなり異なる。民族音楽を思わせるパーカッションや呪術風ボーカルは使われていない。オープニング曲はエレクトロニクス全開の曲、「トーキョー・ダブ」はマッシヴ・アタックのようなサウンド。4曲目以降はバンドサウンドになり、「イマキュレイト・クルシフィクション」はエレキギターを使ったロックサウンドになる。「プリティ・ガール」はピアノがメロディーをつくるオーソドックスなポップスだ。