1967年。一般的に、偉大なアーティストと呼ばれる人は、音楽の表現、あるいは可能性を拡大した人である。ジミ・ヘンドリクスが登場するまでは、ビートルズやローリング・ストーンズ、キンクスなどが「ロック」と認識されていたが、このアルバム、もしくはシングルの「ヘイ・ジョー」や「紫のけむり」が出てからは、ジミ・ヘンドリクスがロックであり、ビートルズはポップス、あるいはポップなロックとなった。いつの時代にも、新しいジャンルを創始するようなアーティストが先駆者として尊敬される。ジミ・ヘンドリクスは、ブルースを基本とする荒々しさ、生々しさ、危なっかしさを備えたロックの先駆だった。アルバム収録曲の多くが後にカバーなどで有名になっている。「フォクシー・レディ」「レッド・ハウス」「ファイア」「サード・ストーン・フロム・ザ・サン」収録。日本盤にはシングルのみの「ヘイ・ジョー」「紫のけむり」「ストーン・フリー」収録。
1968年。前作の延長線上。「スパニッシュ・キャッスル・マジック」「リトル・ウィング」収録。
1968年。ゲスト・ミュージシャンが多数参加し、キーボードも入っているアルバム。デビュー盤はデビュー盤ならではの勢いがあり、それだけで圧倒するような緊張があった。このアルバムはスタジオ盤として3枚目なので、曲の仕上がりや全体の流れにも気を遣っている。ビートルズ時代のラウド・ロック。「ブードゥー・チャイル」は15分。ボブ・ディランの「見張り塔からずっと」のカバー収録。
1970年。ジミ・ヘンドリクスが新たに結成したバンド・オブ・ジプシーズのデビュー盤で、生前の唯一のライブ盤。クリームの「ライブ・クリーム」と同じで、インプロビゼーションを基本とする。ただし、インプロビゼーションをしているのはジミ・ヘンドリクスだけ。このころのロック・ギターはジミ・ヘンドリクスとエリック・クラプトンとジミー・ペイジが牽引役だった。迫力はクリームの方が上回る。
1997年。レコーディング途中で終わっていたアルバムを死後編集して発売したアルバム。生前に発売されていれば名盤とは呼ばれなかったであろう内容。いい曲とそれほどではない曲が混在している。途中でジミ・ヘンドリクスが死去したために、本意ではない内容で出されているので、あからさまに批判されることはない。「エンジェル」や「アース・ブルース」はいい曲。黒人音楽に影響を受けていることがありあり。
1997年。「アー・ユー・エクスペリエンスト?」から「ファースト・レイズ・オブ・ザ・ニュー・ライジング・サン」までの19曲と、「ウッドストック」のアメリカ国家を収録。
2003年。1969年のイギリス、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールのライブを収録。