1999年。シングル盤。ジェシカ・シンプソンはアメリカ出身の女性歌手。19歳。高い歌唱力を持ち、高音でも制御の効いたボーカルで歌う。タイトル曲はサビで高音を駆使するバラード。他の4曲はデビューアルバム収録曲の1分から1分半の抜粋。
2000年。安定したボーカルで前向きなポップスを歌う。最後の「ハート・オブ・イノセンス」のみジェシカ・シンプソンが歌詞を書いている。作曲せず、作詞も1曲だけだが、ピューリタニズムの精神が残るアメリカではこの1曲の歌詞が極めて重要である。ピューリタニズムとは広い意味では理想主義なので、「結婚するまで貞潔を守る」と若い未婚女性が主張することは、中高年の白人に強いインパクトを与える。このピューリタニズムは、一方で人種差別撲滅を表向きの態度として推進しながら、アフリカ系アメリカ人との接触を避けようとする態度を維持する役割も果たしており、差別解消を目指すアメリカ社会にとっては善し悪しの面がある。ポピュラー音楽においては、特にアメリカでは「支持することを誰からも非難されない」ことを意味し、「安心して他人に推奨できる」アーティストということになる。もちろん、ジェシカ・シンプソンが白人である限りにおいてである。同じ年にデビューしたブリトニー・スピアーズやクリスティーナ・アギレラとは、イメージのよさが全く異なる。ジャケットを含めて総合的に見れば、見る者を見つめるような視線、薄い化粧、まっすぐ下に伸びる金髪、何も身につけないファッション、いずれもが純粋さを強調する。ピューリタニズムの語源はpurity(純粋、潔白)であり、ジャケットとサウンドが連動していることが分かる。「ウーマン・イン・ミー」はデスティニーズ・チャイルドと共演。全米25位、200万枚。
2001年。作詞せず、全曲が他人の作詞作曲となった。若さをイメージさせる曲が多い。ジェシカ・シンプソンは笑顔をあまり見せない雰囲気があり、多少攻撃的であったり、逆に内省的であったりしても違和感はない。むしろ、他の女性アーティストと同じであることは、埋没を招くのではないか。曲がよくないわけではなく、ボーカルも従来通り安定している。全米6位、100万枚。
2003年。明るくポップなサウンドは減り、希望のあるメロディーになった。サビでよく声が伸びる曲が多い。バラード中心なので、楽しいとか高揚するとかいうような雰囲気ではないが、女性歌手としての段階を踏んだサウンドになっている。全米2位、300万枚。
2004年。全米14位。
2006年。再びポップになった。ダンス音楽風の曲はアップテンポ。全体的にジャケットとサウンドのイメージが合わないが、女性歌手のポップスとしていい曲がそろっている。オープニングのアルバムタイトル曲はダイアナ・ロスの「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」のコーラスが使われる。「スウィング・ウィズ・ミー」はスイング・ジャズのサウンドで、ホーン・セクションもそうした演奏をする。「プッシュ・ユア・トゥッシュ」はディスコ風で始まり、途中でカントリーになったあとディスコに戻る。「バック・トゥ・ユー」じゃカンサスの「すべては風の中に」のようなギター・フレーズ。全米5位。
2008年。
2010年。