1984年。キーボードを含む5人編成。レッド・ツェッペリンのドラム、ジョン・ボーナムの息子ジェイソン・ボーナムがドラムをやっている。80年代ハードロックの名盤。プロデューサーはボー・ヒルで、エコーの深いドラムや爽快なキーボード、コーラスは当時最もメジャーなサウンドだった。イギリスのバンドなので全編がハードロックで、ロックン・ロールがない。しかし、音はアメリカン・ロック。「アイ・ドント・ケア」収録。
1986年。4人編成。オープニング曲からキーボードが重要な役割を果たしているが、キーボード奏者はゲスト参加。サウンドはエアレイスよりややハード。曲によってはサックスや女声コーラスも入る。素直に聞けば、キーボードが多かった時代のラッシュやポリス、スターシップ、ラバーボーイにも似ている。ボーカルは力があってよい。
1987年。ドラムの音が穏やかになり、それにともなってサウンドもハードさが押さえられたように聞こえる。プロデューサーがケビン・エルソンだからかどうかは分からないが、全体的にサウンドが人工的だ。キーボード主導のメロディー。
1989年。邦題「無限」。ジェイソン・ボーナムが自分の名前を冠したバンド。これまでは意識的にレッド・ツェッペリンと異なるサウンドをやっていたと思われるが、このバンドはレッド・ツェッペリンに近いサウンドになっている。ボーカルの歌い方もロバート・プラントに似ている。ベースがキーボードとバイオリンを兼任する4人編成。ドラムの音が大きく、演奏もジョン・ボーナムに似ている。曲がすばらしく、ジョン・ボーナムの息子のバンドという見方をされることが障害になっている。
1992年。前作の作風を継承している。やや、曲がストレートなロックに近寄り、前作のような効果音や物語性を感じさせる曲は減った。この時期に70、80年代型のハードロックをやることが貴重なのかもしれないが、サウンドの方向がレッド・ツェッペリンだから、ルーツ回帰のブームに合っていたのか。
1994年。ボーカルが交代。バックの3人は全員ボーナムのメンバー。ボーカルは泥臭さのあるハスキーな声で、アメリカのロックン・ロールや70年代ブルース・ロックに似合う。サウンドもそれに合わせたようなサウンド。「Y」でバイオリンを弾いているのは元カンサスのデイビッド・ラグズデイル。
1997年。レコーディング・スタジオに観客を入れて録音したライブ盤。曲はレッド・ツェッペリンの曲。ベース兼キーボードはボーナム、マザーランドのメンバー。
1998年。すべてメンバーの作曲によるスタジオ盤。ボーカルはボーナムとマザーランドの中間のような声。中期から後期のレッド・ツェッペリンのようなサウンドは、ボーナム以来、ジェイソン・ボーナムの個性として定着したのではないか。