JAMIROQUAI

  • アシッド・ジャズの代表的バンド。イギリス出身。
  • バンド編成もメンバーも不定だが、中心人物のジェイ・ケイは結成当初から在籍している。
  • 「トラヴェリング・ウィズアウト・ムーヴィング~ジャミロクワイと旅に出よう」が世界的にヒットした。
  • 90年代のクラブ・ミュージック、ダンス音楽では世界のトップバンドだったと言える。
  • 2000年代以降はロックやディスコなど、サウンドの幅が広がっている。

 
WHEN YOU GONNA LEARN?/TOO YOUNG TO DIE

1993年。イギリス出身のアシッド・ジャズ、ジャズファンク・バンド。ギター不在、キーボードを含む4人編成。中心人物はボーカルのジェイ・ケイ。シングル2枚を同時収録した日本独自のシングル。4曲収録されているが、2曲はバージョン違いなので、事実上2曲収録。ギターは実質的にも登場せず、キーボードとホーン・セクション、ストリングスがメロディーを形成する。ボーカルはソウルやR&Bに影響を受けていることがうかがえる。

1
EMERGENCY ON PLANET EARTH

1993年。邦題「ジャミロクワイ」。ホーン・セクション、パーカッションといった一般的なファンクにキーボード、ストリングスをややまぶしたファンク・ロック。シングルには収録されない長い曲もあり、10分を超える「革命、1993」は相当な高揚感を生み出す。

 
BLOW YOUR MIND

1993年。3曲入りシングル。タイトル曲のバージョン違いと前作収録曲のバージョン違いが入っている。

 
EMERGENCY ON PLANET EARTH

1993年。シングル盤。70年代フィラデルフィア・ソウルのようなストリングスの音が入り、リズムはディスコ。パーカッションも効いている。バージョン違い、アルバム収録曲のアコースティック・バージョン、デモ・バージョンを収録。

 
THE KIDS

1994年。邦題「KIDS」。シングル盤。

2
THE RETURN OF THE SPACE COWBOY

1994年。邦題「スペース・カウボーイの逆襲」。ドラムが交代。オーストラリアの民族楽器、ディジュリドゥの奏者が加入し、5人編成。ディジュリドゥはドローン効果を出す低音の管楽器で、「ジャーニー・トゥ・アーネムランド」で使用されている。アーネムランドはオーストラリア北部。ディジュリドゥが使われている地域。キーボードがフュージョンやアダルト・コンテンポラリーのようなシンセサイザー中心で、それがホーン・セクションやストリングス、パーカッションと重なることで独自のサウンドを作っている。また、それをファンク、テクノの上に乗せ、ミクスチャー・ロックのブームにうまく入ることができた要因となった。

SPACE COWBOY

1994年。シングル盤。

 
STILLNESS IN TIME

1994年。シングル盤。未発表曲はインスト。

HALF THE MAN

1995年。シングル盤。

 
LIGHT YEARS

1995年。シングル盤。ライブ3曲はライブとしてつながっており、曲間にMCも入る。「WE GETTIN' DOWN」はアルバム未収録曲でパーカッションとドラムがそれぞれソロをとる。

 
VIRTUAL INSANITY

1996年。シングル盤。

3
TRAVELLING WITHOUT MOVING

1996年。邦題「TRAVELLING WITHOUT MOVING~ジャミロクワイと旅に出よう」。ギターがサウンドの中に入ってきた。楽器の中のひとつという扱いで、メーンのメロディー楽器はキーボードとホーン・セクション。サウンドが多彩になり、70年代ディスコ、ファンク、テクノなどが、もともと持っていたジャミロクワイの音楽のバリエーションとして機能している。曲はすべて5分台以下で、これまでにあった長い曲はなくなった。ディジュリドゥを使った曲は2曲に分割されているが、アルバムでは曲間なしで計9分以上ある。「ドリフティング・アロング」は初めてレゲエを導入。「オールライト」のサビはローリング・ストーンズの「夜をぶっとばせ」を意識したか。

 
COSMIC GIRL

1996年。シングル盤。アルバム未収録曲1曲の他はタイトル曲のバージョン違いが3曲。

SINGLE BOX

1996年。5枚組シングルセット。

 
ALRIGHT

1997年。6曲とも同一の曲で、すべてがアルバム収録曲のバージョン違い。

 
DEEPER UNDERGROUND

1998年。シングル盤。映画のサウンドトラック。

 
CANNED HEAT

1999年。シングル盤。ストリングスが効果的で、テイスト・オブ・ハニーの「今夜はブギ・ウギ・ウギ」を思い出させる。

4
SYNKRONIZED

1999年。ストリングスが多くなり、雰囲気もやや古風になった。オープニング曲の「キャンド・ヒート」は70年代のテイスト・オブ・ハニーやエレクトリック・ライト・オーケストラのようにも聞こえる。「キング・フォー・ア・デイ」はすばらしい。メロディーを聞かせるという点ではこれまでで最も充実しているアルバムではないか。

 
BLACK CAPRICORN DAY

1999年。シングル盤。アルバム収録曲のバージョン違いを3曲収録。

 
LITTLE L

2001年。シングル盤。同じ曲でミックス違いを含め4曲収録。

5
A FUNK ODYSSEY

2001年。ベースが交代し、ギターが加入、ディジュリドゥが抜けた。ホーン・セクションがほとんどなくなり、サウンドがキーボードと少々のギター、ベースで形成される。ポップなテクノのような雰囲気で、ドラムやベースは人が演奏しているようなニュアンスが少ない。オープニング曲の「フィール・ソー・グッド」はボーカルにも音響上の細工を加えており、デビュー盤のようなファンクの楽しさとはかなり離れたところにある。「コーナー・オブ・ジ・アース」はストリングスではなくオーケストラを使ったようなサウンド。

 
YOU GIVE ME SOMETHING

2002年。シングル盤。7曲のうち6曲はタイトル曲とそのバージョン違い。残りの1曲はライブ。

LOVE FOOLOSOPHY

2002年。シングル盤。

 
CORNER OF THE EARTH

2002年。シングル盤。アルバム収録曲のバージョン違い2曲とアルバム未収録曲のライブ1曲収録。

6
DYNAMITE

2005年。ベースとキーボードが交代。前作と同じく、エレクトロニクスを多用した路線。女声コーラスとストリングスも多く、「スターチャイルド」「ギヴ・ヘイト・ア・チャンス」「タイム・ウォント・ウェイト」などは70年代ディスコの雰囲気が強く漂う。オルタナティブ・ロックを通過した後のディスコと言ってもよい。オープニング曲のみラウド・ロック。

HIGH TIMES SINGLES1992-2006

2006年。ベスト盤。

7
ROCK DUST LIGHT STAR

2010年。バンドサウンドを重視したようで、キーボードや女声コーラスが70年代風だ。ストリングスやホーンセクションも生演奏なので、70年代後半に発売されていても違和感のないサウンドだ。フィラデルフィア・ソウル、ディスコのような、すでに多くの人が聞いたことのあるサウンドに近いので、聞き手に懐かしさや安心感が伴う。ダンス音楽からも逸脱していない。

8
AUTOMATON

2017年。7年も間隔が空いた割には、前作とそれほど変わらない。基本的なバンド編成に加え、コーラス4人、ストリングス16人、ホーンセクション4人、パーカッション等が参加する。シンセサイザー、エレクトロニクスを多用しているわけではないが、サウンド上は70年代のアメリカ東海岸のディスコのように整えられている。アルバムの間隔が長く空いたため、新しいサウンドを提示するのではなく以前と変わらないサウンドで活動することを示したと言える。それは、ジャミロクワイが時代の先頭として活動するのではなく、第2次ベビーブーム世代に向けたダンス音楽のアーティストとして活動することと同義だ。「クラウド9」収録。