イマジン・ドラゴンズはアメリカのロックバンド。4人編成。「レディオアクティヴ」がヒットしている。
2012年。ボーカル、ギター、ベース、ドラムの基本的な編成ながら、時代に則してエレクトロニクス、キーボードを柔軟に使う。サビをコーラスで歌うオーソドックスなロックで、デビュー盤からなじみやすいサウンドを持って出てくるのは曲に自信があるからだろう。制御された整合感のあるロックは、2010年代の新人には珍しく古風だ。ロックらしさを大きく残したコールドプレイのようだ。「レディオアクティヴ」「イッツ・タイム」収録。日本盤は2013年発売。
2015年。コールドプレイがロック寄りになったサウンド。音の多さ、大きさにメリハリをつけた曲が多い。高い音階が多いギターやコーラスが、フリート・フォクシーズやMGMTを思わせる。高い音階がメリハリのついた音とともに曲のダイナミックさを強調し、印象を強くする。ロックの先端に近いサウンドを持つバンドとして認識する人は多いだろう。「ショッツ」「アイ・ベット・マイ・ライフ~僕の人生をかけて」「トラブル」はいい曲だ。「ザ・フォール」はドラマチックさも備える。
2017年。シンセサイザー、キーボード、エレクトロニクスが増え、ギターが控えめになっている。多くの曲でサビのボーカルを力強く厚くしており、「レディオアクティヴ」の曲調を継承している。バンドサウンドは後退しているが、アルバムとして3枚目なのでシンセサイザー中心のサウンドに傾くのは許容範囲だろう。「ビリーヴァー」「イエスタデイ」「マウス・オブ・ザ・リヴァー」「サンダー」は作り込まれており、ライブでどう再現するのか、どう編曲するのかに興味が行く。
2018年。「エヴォルヴ」の姉妹編だという。「エヴォルヴ」よりも勢いが抑えられている。姉妹編とは言っても、一般的に後から出たアルバムは前作との比較になるため、前作と同等か上回る出来でないと評価は得にくい。アップテンポの曲が少なく、力強く豪快な曲が少ないことは、ロックバンドのアルバムとしての期待を裏切る。他のバンドがこのアルバムを出していれば好意的な評価になったかもしれない。イマジン・ドラゴンズに対する期待の高さがアルバムの出来のハードルを上げている。「バッド・ライアー」「ウエスト・コースト」「スタック」といった曲は弱い。「ナチュラル」「ゼロ」収録。
2021年。2枚で1作のコンセプト盤の1枚目。CDのブックレットには内容に関する記載がなく、歌われる歌詞のみで判断するならば、テーマは孤独や疎外感、喪失だ。ただ、その語り方はかなりあからさまで、恥ずかしく感じる。5枚目のアルバムを出すアーティストとしても、人気が出たことによる孤独と疎外感をテーマにすることは、今さらの感がある。これまで多くのアーティストが取り上げてきたありふれたテーマなので、2枚目でどのように展開していくかが問われる。ロックを基本として、ヒップホップやエレクトロ音楽の要素を取り入れているのも2010年代、20年代のロックでは目新しさが少ない。日常的にロックを聞く人は他のアーティストも聞いているため、既視感があるイマジン・ドラゴンズをあまり評価しないかもしれないが、新しい聞き手には現代のロックバンドの入り口として機能する。誰かが担うべきその役割を、理解しようとするかどうかでバンドの評価は変わるだろう。