1991年。ギターが男性、それ以外の3人が女性で、ボーカル兼ギターのコートニー・ラヴを中心とする。コートニー・ラヴはニルヴァーナのカート・コバーンと結婚したことで有名になった。ボーカルは歌うというよりは叫んでいる。女性がやっているグランジ・ロックで、そのほかの音楽的特徴は男性バンドと比べても特にない。サウンドの話題がサウンド以外の話題を超えられないのは、サウンドに個性が乏しいからである。
1994年。前作のように叫ぶように歌う曲もあるが、メロディーをきちんと追う歌い方もある。きちんと歌っているのではなく、気だるさや無気力を装って歌うので、一般的なロックの歌い方、あるいは多かれ少なかれオーソドックスな歌唱技術を感じさせる歌い方ではない。キーボードも一部で使い、曲の構成も考えているらしき痕跡がある。
1995年。ベースが死亡し交代。スタジオ録音1曲、ライブ5曲のミニアルバム。「オーヴァー・ジ・エッジ」はワイパーズのカバー。「ペイル・ブルー・アイズ」はヴェルヴェット・アンダーグラウンドのカバー。女性らしさを感じさせる歌い方はしていない。
1998年。スマッシング・パンプキンズのビリー・コーガンが作曲で参加し、曲が聞きやすくなった。ボーカルもなじみやすい歌い方で、メロディーも覚えやすい。これまでとは大きく異なるサウンドで、広く受け入れられるロック。ポップでもある。
2004年。ホールのボーカル兼ギター、コートニー・ラヴのソロ・アルバム。ロックらしい激しさや勢いがあり、「セレブリティ・スキン」のような親しみやすさはやや減っている。しかし、コートニー・ラヴのイメージを的確に表現したサウンドで、デビュー当時ほど無軌道な叫び方をしないが、歌やメロディーを意識した声の荒げ方だ。歌詞も女性のロックファンの支持を得やすい。