1998年。ギターが2人いるイタリアの5人組。北欧神話のヘイムダールを主人公とする物語性の強いアルバム。ラプソディのようなオーケストラを使っているわけではないが、サウンドはそれに近く、コーラスも多人数を起用している。登場人物はほかにオーディン、ロキ、ビフレスト。バックの演奏は水準に達しているが、ボーカルは何とかしなければならない。カイ・ハンセン並みではバランスが取れない。アルバム・タイトル曲での、合唱隊とバンドメンバーのかみ合わないコーラスはいかんともしがたい。
1999年。キーボードが加入し6人組。作風はほとんど変わっていない。今回もアルバム全体で一つの物語をなしている。日本盤ボーナストラックでジューダス・プリーストの「ブレイキング・ザ・ロウ」のカバー収録。
2002年。ボーカルが交代し、サウンドもあか抜けて飛躍した。新ボーカルは低音中心のファルコナーのような歌い方で、驚くべきことは、バック・コーラスも多重録音で1人でやってしまっていることだ。そのコーラスが低音のみで、サウンドの仰々しさをさらに強調している。ラプソディのサウンドにファルコナーの声とコーラスを乗せるという試みは個性として十分アピールしている。イタリアのバンドとしては一流の仲間入り。
2004年。大仰さが抑えられているが、伝統的なヘビーメタルになったわけではない。ボーカルはましになったとはいえファルコナーやラプソディーには及ばない。声域が狭いのが難点。
2000年。ギター2人、キーボードを含むイタリアの6人組。合唱隊のほか、女声ボーカル、オペラ歌手10人を使っている。歌詞はテリー・ブルックスの「シャナラの剣」をモチーフにしている次作の物語。「シャナラの剣」は1977年に発表され、トールキンの「指輪物語」以降では最も有名なファンタジー小説。内容は「指輪物語」とそっくりで、テリー・ブルックスは「スター・ウォーズ・エピソード・メナス」の原作者。キーボードが奥に引っ込みすぎてバランスがよくないが女声ボーカルやオペラ歌手は頻繁に出てきてサウンドを盛り上げる。ボーカルはインパクトに欠ける。民謡風サウンドが出てくるところはラプソディ直系。
2002年。1066年のヘイスティングスの戦いをもとにしたアルバム。歴史的には、この戦いをもってバイキングのイギリス支配が終わり、本格的イギリス史が始まる。ジャケットの右側はナポレオンによってフランス国宝に指定された「バイユーのタペストリー」で、ヘイスティングスの戦いを描いた部分を使用している。前回同様、合唱隊、女声ボーカル、オペラ歌手を使い、音質も向上してラプソディに近づいた。14曲あるが、そのうち6曲は次の曲へのイントロ。ストライパーの「イン・ゴッド・ウィ・トラスト」のカバー収録。
2003年。シングル盤。アルバム・バージョンと同じ。「イン・ゴッド・ウィ・トラスト」は「ヘイスティングス1066」の日本盤ボーナストラックと同じ。あとの2曲は「ザ・ラスティング・パワー」のブラジル盤ボーナストラック収録の曲。1曲はイントロなので実質的に1曲。
2005年。ボーカルが交代。ジャンヌ・ダルクをテーマにしたアルバム。ストリングスや合唱隊をあまり使わない。ヘビーメタルのバンドらいさを出したと言えるが、キーボードがストリングスの代役をしているので目指そうとするサウンドは変わっていない。歴史を題材とするアルバムはザイ・マジェスティ以外にもあり、他のアルバムとどう差をつけるか、どう個性を示すかが重要。個性の確立は、ジャンルの創始者であるラプソディとの比較を避けるためにも大事だ。
2008年。
2012年。