1967年。ギター2人、ベース、ドラムの4人編成で、ギターとドラムがリード・ボーカルをとる。ハーパース・ビザールやヴァン・ダイク・パークスのような、控えめなポップ感覚と主張しないコーラスに、オーケストラも使うようなポップスをバーバンク・サウンドという。ワーナー本社があったアメリカ、カリフォルニア州バーバンクにちなんでそう呼ぶが、60年代後半、プロデューサーのレニー・ワロンカー、スタジオ・ミュージシャンのヴァン・ダイク・パークス、ランディー・ニューマンが関わったコーラス主体のグループを指すことがほとんどだ。このアルバムもオーケストラがなければ成り立たないような編曲ばかりで、基本的にスタジオの中で完結し、ライブを行うことを想定していないかのようなサウンド。ボーカルのほとんどの部分はコーラス。サイモン&ガーファンクルのポール・サイモンが作曲した「59番街橋の歌」は「恋の59号通り(フィーリン・グルーヴィー)」として代表曲となっている。「ラズベリー・ラグ」は日本について歌っている。10曲のうちランディー・ニューマンの作曲が3曲、編曲も3曲、レオン・ラッセル編曲が4曲。「カム・トゥ・ザ・サンシャイン」はヴァン・ダイク・パークス作曲。全米108位。「恋の59号通り(フィーリン・グルーヴィー)」は13位、「カム・トゥ・ザ・サンシャイン」は37位。
1967年。ドラム専任メンバーが加入したため、ドラム兼リード・ボーカルだったテッド・テンプルマンはボーカルに専念できるようになった。コンセプト・アルバムというほどではないが、統一されたテーマに沿って曲が進んでいく。1920年代から40年代のジャズ、ブルーグラス、カントリーなど、ノスタルジーを感じさせるサウンド。「エニシング・ゴーズ」は43位、「チャタヌーガ・チュー・チュー」は45位。
1968年。ギターが1人抜け4人編成。ほとんどの曲がカバー。有名なのはアイヴィー・リーグの「ファニー・ハウ・ラブ・キャン・ビー」とロジャー・ニコルス・アンド・スモール・サークル・オブ・フレンズの「ドリフター」。この2曲はソフトロックの古典。ドリス・デイの「センチメンタル・ジャーニー」はスタンダード。前作と同じサウンド。
1969年。邦題「ソフト・サウンディン・ミュージック」。有名曲のカバーが多く、「ノック・オン・ウッド」はエディー・フロイドの、「ハード・トゥ・ハンドル」はオーティス・レディングの、「悲しみのジェット・プレーン」はピーター・ポール&マリーの、「ブラックバード」はビートルズの、「サムシング・ベター」はマリアンヌ・フェイスフルのカバー。最もロック寄りのアルバムで、ドラムの音もはっきり聞こえる。バンドらしいサウンド。
1976年。
1997年。ベスト盤。クロディーヌ・ロンジェで有名な「スモール・トーク」収録。