1991年。ボーカルがキーボードを兼任する4人組。カナダ出身。どの曲も水準以上のオーソドックスなハードロックで、こざかしいことをまったく行わずに曲の出来だけで勝負している。サビはコーラスが多く、キーボードは主張しない。日本盤はボーナストラックでアコースティック曲が3曲入る。
1993年。日本デビュー盤。前作よりもハードになり、メロディーの抑揚がさらに広がった。ギターの音がやや厚い。デビュー時にコマーシャルでバックに流れていたのは「ノー・ジャスティス」だったが、「チェンジ・カムズ・アラウンド」が代表曲となった。「ジャスト・ライク・アイ・プランド」は楽器演奏無しでボーカルハーモニーのみ。
1994年。「ハーレム・スキャレーム」と「ムード・スウィングズ」収録曲のライブ3曲、アコースティックバージョン2曲、シングルバージョン2曲。
1995年。前作よりもミドルテンポが多くなった。曲もそれほど派手なメロディーではないが、曲ごとにハーレム・スキャレームのポップで覚えやすいメロディーが聞ける。全体的に明るい曲やハードな曲が少ないが、それだけをもって「時流に乗った」というのは、不満と感じる原因を自分に疎遠なグランジロックやオルタナティブロックに押しつける思考停止である。
1996年。新曲2曲を含むライブ盤。ベースが交代し、新メンバーが演奏している。このころからカナダ本国や英米よりも日本での人気が先行。
1997年。アルバムの前半は「ムード・スウィングズ」路線、後半は「ボイス・オブ・リーズン」路線。といってもそう感じるのは最後の2曲くらいで、基本的に初期に戻っている。オープニング曲の「ビリーブ」とその次の「ダイ・オフ・ハード」がラジオでよくかかった。インスト曲の「ベイビー・ウィズ・ア・ネイルガン」はボーカルがなくてもハーレム・スキャレームらしい曲。
1997年。シングル盤。アルバム未収録曲2曲収録。どちらもアルバム収録曲と質は変わらない。
1997年。3曲とも同じ曲だが、アルバム未収録の2曲はそれぞれバージョン違い。
1997年。「ライブ・アンド・アコースティック」と「ライブ・イン・ジャパン」が1セットになった2枚組。さらに「チェンジ・カムズ・アラウンド」のアコースティックバージョンが入っている。
1997年。「ビリーブ」の5曲をリミックス。シングルB面用の2曲を追加し、チープ・トリックの「サレンダー」のカバーを収録。リミックスしたケビン・エルソンが、エアロスミスやジャーニーなどの大ヒット作に関わっている点がポイント。
1998年。カナダでのライブ。新曲2曲収録。
1998年。シングル盤。ライブ2曲収録。
1998年。アップテンポの曲が10曲のうち6曲あるにもかかわらず、ハードな印象がないのは、個々の曲の中でメロディーの抑揚が小さいからである。「ムード・スウィングズ」のときはそれが広かったため、高揚感を生んでいた。アルバムがバラードで終わるところなどを考えれば、メロディーが良くも悪くも大人になったという感じだ。
1998年。シングル盤。アルバム未収録曲2曲収録。
1998年。シングル盤。同時収録の2曲はアコースティック・バージョン。ライブ録音。
1998年。ベスト盤。
1998年。シングル盤。同時収録の2曲はアコースティック・バージョン。ライブ録音。
1998年。
1999年。海外では「ラバー」の名前でリリースし、これがラバーのデビュー盤。ギターの音がハードロックからロック、ポップスになった。したがってハードロックよりもライトな音になっているが、メロディーに変わりはない。「カミング・ダウン」のカントリーロック寄りの音がイギリスではないアメリカのバンドであることを実感させる。ヘビーメタルと一緒にされがちであるハードロックでは売れないということを正確に理解した点は他のバンドよりもかしこい。サウンドがハードロックやヘビーメタルであっても、レコード販売上のジャンルでハードロックやヘビーメタルに入れられることは絶対に避けるのが賢明だ。
1999年。バラード集。
2000年。新曲1曲、スクイーズのカバー1曲を含むライブ盤。ハーレム・スキャレームとしての最後のライブ。
2001年。ドラムが交代。日本でもラバーの名前でリリース。前作よりもロック色が強くなった。ギターとドラムがシンプルな音に近くなり、キーボードが少なくなった。アンプラグドの流行を受けて、ハードロックでもできるだけ音を少なくすることが流行になっている。
2001年。バラードのないベスト盤。
2002年。日本、ヨーロッパではバンド名をハーレム・スキャーレムに戻した。カナダではジャケットに「ハーレム・スキャーレム」と書かれていながら今もラバーの名前で契約している。「ビッグ・バング・セオリー」以降の音楽的試行錯誤をやめ、「ビリーブ」時代に戻ったサウンド。ギターはハードロック的になり、コーラスは前任ドラムを参加させるほど徹底している。以前と違う点はキーボードが少ないこと。そんなことはまったく気にならないほど曲が充実している。傑作。
2002年。ベスト盤。
2002年。ライブ盤。
2003年。デビュー前の音源集。
2003年。前作と同路線。80年代ならいくつもの曲がシングルカットできただろう。すばらしいメロディー。次作もこの路線なら全盛期突入だ。
2005年。4人編成によるハードロック・バンドとして、ハードロックの範囲内で質が高い。ハーレム・スキャーレムというバンド名やハードロック・バンドという出自を考えなければ、同じカナダのニッケルバックとそれほど遜色のないサウンドを持っている。前作を踏襲しているが、変化に乏しいとも言える。「ユー・シュック・ミー・オール・ナイト・ロング」はAC/DCのカバー。
2006年。元TNTのボーカル、トニー・ハーネルがコーラスで参加している。曲調がやや明るくなり、前向きな印象を受ける。ジャケットのイメージと合っていない。「ギヴ・ラヴ/ゲット・ラヴ」はコーラスが分厚い。
2008年。このアルバムで解散することがあらかじめ分かってから発売されたアルバム。「カーム・ビフォア・ザ・ストーム」は「ムード・スウィングス」のころからメロディーが変わっていないことを示す曲。変わらないからいいというわけではないし、変わったら別の展開があったかもしれないが、タイミングの悪さはあったかもしれない。