THE GRASS ROOTS

  • スリー・ドッグ・ナイト、ママス・アンド・パパスとともにアメリカのダンヒルレコードの主力となったバンド。
  • 最初の2枚はP.F.スローンとスティーヴ・バリが多くを作曲しプロデュース、3枚目以降はスティーヴ・バリがプロデュースしている。
  • 「ラヴィン・シングス」から「ムーヴ・アロング」までは日本でも人気が高い。
  • ギターのウォーレン・エントナーは1970年代後半からロックバンドのマネジャーに転向。エンジェル、クワイエット・ライオット、レッグス・ダイアモンド、フェイス・ノー・モア、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、ナダ・サーフ、ビッフィ・クライロ等を手掛けている。

1
WHERE WERE YOU WHEN I NEEDED YOU

1966年。邦題「冷たい太陽」。12曲のうち9曲をP.F.スローン、3曲をベドウィンズのボーカルが歌う。ベドウィンズのボーカルはローリング・ストーンズのミック・ジャガーに似た歌い方で、P.F.スローンはそれよりも音程が安定して聞きやすい。サウンドはフォークロックで、チェンバロを主とするキーボードやグロッケンシュピールが使われる。P.F.スローンとスティーヴ・バリは1960年代のヒット曲を量産した作曲家なので、アルバムタイトル曲や「ユー・ベイビー」「アイ・アム・ア・ロック」はポール・サイモン、「うれしいあの娘」はラヴィン・スプーンフル、「テル・ミー」はローリング・ストーンズ、「ミスター・ジョーンズ」はボブ・ディランの「やせっぽちのバラッド」のカバー。

2
LET'S LIVE FOR TODAY

1967年。邦題「今日を生きよう」。「冷たい太陽」を録音したベドウィンズとは異なるバンドで録音している。メンバー4人のうち3人がボーカルを取れるのでコーラスも多用される。ボーカルとしてロブ・グリルが加入し、以後バンドの中心人物となる。テンプターズがカバーした「今日を生きよう」はカンツォーネのカバー。「冷たい太陽」はロブ・グリルがボーカルを新たに録音した曲。12曲のうち4曲はメンバーが作曲、7曲はP.F.スローンとスティーヴ・バリが作曲している。

3
FEELINGS

1968年。邦題「あなたのメロディ」。日本盤CDは出ていない。

GOLDEN GRASS

1968年。新曲を含むベスト盤。新曲は「真夜中の誓い」「いとしのベラ・リンダ」「レディ・プレジャー」。

4
LOVIN' THINGS

1969年。サウンドをフォーク調からポップなロックに変えた。ホーンセクションとストリングスを取り入れ、多くの曲がアップテンポで明るい。メロディーが簡明なため覚えやすい。「ペイン(恋の傷跡)」は日本のみシングル盤のA面で出された。「パーリー・スペンサーの日々」はデヴィッド・マクウィリアムス、「アイ・ゲット・ソー・エキサイテッド」はジ・イコールズのカバー。「フライ・ミー・トゥ・ハバナ」は間奏がパーカッションの合奏になっており、グラス・ルーツのイメージとは異なる。

5
LEAVING IT ALL BEHIND

1969年。邦題「神に願いを」。ギターが抜けキーボードが加入。キーボード奏者のデニス・プロヴァイザーが作曲した「テイク・ヒム・ホワイル・ユー・キャン」「ウォーキング・スルー・ザ・カントリー」は、本人が歌うボーカルが素晴らしいソウル風ロックだ。「アウト・オブ・ジス・ワールド」もシングルになっていればヒットしただろう。「ドント・リマインド・ミー」「トラック・ドライヴィン・マン」はホーンセクションやストリングスが使われずにスライドギターが使われるカントリーロックのサウンド。年代を反映している。「100万年の想い」収録。

MORE GOLDEN GRASS

1970年。新曲がメーンのベスト盤。新曲は「ベイビー・ホールド・オン」「ゲット・イット・トゥゲザー」「カモン・アンド・セイ・イット」「燃ゆる瞳」「キーピン・ミー・ダウン」「アイ・キャン・ターン・オフ・ザ・レイン」「レット・イット・ゴー」。

THEIR 16 GREATEST HITS

1971年。新曲1曲を含むベスト盤。新曲は「恋はすばやく」。

6
MOVE ALONG

1972年。デニス・プロヴァイザーを中心に作った曲が5曲、外部の作曲家が作った曲が5曲、「グローリー・バウンド」は外部の作曲家とスティーヴ・バリとデニス・プロヴァイザーの共作。デニス・プロヴァイザーの「月曜日の恋」は従来のグラス・ルーツのイメージ通りだが、「あの娘が待つ家」「ムーヴ・アロング」「オンリー・ワン」は前作の「ウォーキング・スルー・ザ・カントリー」のような盛り上がっていくソウル、「サムワン・トゥ・ラヴ」はスリー・ドッグ・ナイトに通じるボーカルハーモニーを使う最もソウル寄りの曲。

7
ALOTTA MILEAGE

1973年。邦題「恋に乾杯」。ダンヒル・レコードからはこのアルバムが最後。

8
THE GRASS ROOTS

1975年。「いとしのママシタ」を収録し、シングルにもなった。日本盤は出なかった。

14 GREATS

1978年。過去の曲の再録音。

9
POWER OF THE NIGHT

1982年。ボーカル以外のメンバーを全員入れ替えて制作。ボン・ジョヴィがカバーした「シー・ドント・ノウ・ミー」収録。日本盤は出なかった。

ANTHOLOGY 1965-1975

1991年。ベスト盤。2枚組。日本盤CD化されていない「レディ・プレジャー」、「あなたのメロディー」収録曲の「フィーリング」「住むのはここだ」、「ザ・グラス・ルーツ」収録の「いとしのママシタ」を収録している。「フィーリング」はローリング・ストーンズの「アンダー・マイ・サム」のようなマリンバを下敷きにした曲。「住むのはここだ」はフォーク調のポップス。「レディ・プレジャー」もポップだが派手なホーンセクションは使っていない。「いとしのママシタ」はホーンセクションを使ったイメージ通りの曲。

WHERE WERE YOU WHEN I NEEDED YOU

1994年。デビュー盤に「ユーアー・ア・ロンリー・ガール」「(ジーズ・アー)バッド・タイムス」「ティップ・オブ・マイ・タング」、セッション曲3曲を追加。セッション曲はカバーで、ビートルズの「悲しみはぶっとばせ」、マーヴィン・ゲイの「ヒッチハイク」、バリー・マクガイアの「明日なき世界」。日本盤は2000年発売。

ALL TIME GREATEST HITS

1996年。ベスト盤。グラス・ルーツ初の日本盤CD。ボーナストラックで「シー・ドント・ノウ・ミー」を収録した。