GOO GOO DOLLS

  • ボーカル兼ベース、ギター、ドラムの3人編成。アメリカ出身。
  • ハードコアから出発し、「ボーイ・ネームド・グー~グーという名の少年~」でオルタナティブ・ロックのバンドとして成功している。
  • 代表作は「ボーイ・ネームド・グー~グーという名の少年~」「ディジー・アップ・ザ・ガール」、代表曲は「ネーム」「アイリス」「スライド」。

1
GOO GOO DOLLS

1987年。3人編成でのハードコア、スラッシュメタルのサウンドで、ギター、ベース、ドラム以外の楽器をほとんど使っていない。14曲のうち9曲は1分半から2分半で、テンポは速い。ボーカルはハードコアの歌い方だが時折スレイヤーに近くなる。クリームの「サンシャイン・ラブ」とブルー・オイスター・カルトの「死神」をカバーしている。

2
JED

1989年。ギターの音が太くなり、高速の演奏になった。ギターがハードコアよりもスラッシュメタルに傾いている。「アウト・オブ・アイト」「セブンス・オブ・ラスト・マンス」などではギターソロも入る。「ダウン・オン・ザ・コーナー」はクリーデンス・クリアウォーター・リバイバル、「ギミー・シェルター」はローリング・ストーンズ」のカバー。「”EM ELBMUH”」はテープの逆回転を使った曲なのでタイトルも逆から読むと分かる。

3
HOLD ME UP

1990年。ギターを多重録音し、ボーカルを個別に録音している。ベースも技巧的になった。ギターはヘビーメタルそのもののソロを弾いているがバンド自体はハードコアの雑然さと勢いを残しており、「アウト・オブ・ザ・レッド」ではヘビーメタルのバンドと言われることを嫌悪している。「ネヴァー・テイク・ザ・プレイス・オブ・ユア・マン」はプリンスのカバーで、前作の「ダウン・オン・ザ・コーナー」と同じ人がボーカルをとっている。「ケヴィンズ・ソング」はピアノが加わったインスト曲。このアルバムで日本デビュー。

4
SUPERSTAR CAR WASH

1993年。オープニング曲の「フォーリン・ダウン」やからポップなメロディーで、ギターが3人必要な編曲になっている。エレキギターをリードギターとリズムギターに分け、さらにアコースティックギターの撥弦音も加えている。どの曲も覚えやすいメロディーだ。ボーカルハーモニーも向上した。もはやハードコアとは言えないサウンドだ。「ドミノ」はハードロックに近い。「ウィ・アー・ザ・ノーマル」はアコースティックギターとストリングスを使うハードなバラード。グランジ全盛の時期にはポップすぎたかもしれない。日本盤は1996年発売。

5
A BOY NAMED GOO

1995年。邦題「ボーイ・ネームド・グー~グーという名の少年~」。グランジではないロック、かつハードコア、パンク、ヘビーメタルではないロックの姿を提示し、80年代以前にありがちだった男根主義的な押しつけがましさのないロックとなった。サウンドは前作とあまり変わらないが、ギター、ベース、ドラム以外の楽器はほとんど使われなくなった。ベース兼ボーカルが作る曲は音階が下降して終わる余韻を残したメロディーが多く、ギター兼ボーカルが作る曲はポップ、もしくはハードだ。「ネーム」がヒットしている。全米27位、200万枚。日本盤は1996年発売。

NAME

1995年。シングル盤。タイトル曲はシングル用に編集したバージョン。「バーニン・アップ」「フォーリン・ダウン」はアルバム収録曲と同じ。

6
BANG!

1997年。EP盤。5曲のうち4曲がライブ。「ネーム」「ガール・ライト・ネクスト・トゥ・ミー」はアコースティックライブ。「ドント・チェンジ」はインエクセスのカバーで、この曲のみ歓声が聞こえる。日本のみの発売。

IRIS

1998年。シングル盤。

7
DIZZY UP THE GIRL

1998年。ドラムが交代。「ディジー」「ジャヌエリー・フレンド」「ブリット・プルーフ」などでベースがギターと同じように音が歪み、音に粗さが出ている。粗さがある方が好意的に受け止められるだろう。ベース兼ボーカルが歌う「ジャヌエリー・フレンド」「アム・アイ・ゴーン」「フル・フォーエヴァー」はポップでテンポも速い。ストリングス、キーボードが入る「オール・アイズ・オン・ミー」は「アム・アイ・ゴーン」の後にあると栄える。「アイリス」は映画のサウンドトラックに使われヒット。全米15位、300万枚。

8
GUTTERFLOWER

2002年。前作と同様にメロディアスな曲が並ぶが、どの曲もある程度のメロディーを備えている故に、多くの曲が埋没している。なにがしかの新しい試みを考えることは容易ではないが、それでも3人編成のロックバンドならば難しくはないだろう。このアルバムでも新しいことをやっているのかもしれないが、奏功しているとは言えない。ベース兼ボーカルが作る曲に時折グランジの暗さが現れる。全米4位、50万枚。

9
LET LOVE IN

2006年。ストリングスとキーボードを増やした。メロディーを構成する音階の幅が狭くなり、メロディーに抑揚が出にくくなっている。もともとサビに下降するメロディーが多かったところに音階の幅が狭くなると、メロディーの引っかかりが減る。ポップな曲を作っていたギター兼ボーカルも音程の中心が下がっている。「ギヴ・ア・リトル・ビット」はスーパートランプの「少しは愛を下さい」のカバー。全米9位、50万枚。

10
SOMETHING FOR THE REST OF US

2010年。メロディーが前向きで明るくなった。楽器編成にこだわらない編曲になっており、キーボード、ストリングスはもちろん、目立たない程度にエレクトロニクスも使う。デビュー当時はハードコアのサウンドだったが、20年以上たって、ロックとしては穏やかな方のサウンドになった。若いときに刺激を強いサウンドを志向し、中年になって普遍的なサウンドになるのは多くのアーティストにあるが、グー・グー・ドールズもそのような経過になっている。「ノットブロークン」はすばらしい。「ヘイ・ヤ」もいい曲だ。全米7位。

11
MAGNETIC

2013年。