2011年。ボーカル兼キーボード、ベース、ドラムの3人組。アメリカ、ロサンゼルス出身。録音スタジオではなく自室で編集したようなシンセサイザー、少人数バンドらしいやや少ない音数、MGMTのようなやや高い声で、ニューヨーク、ブルックリンの一連のアーティストを思わせる。メロディーの中心楽器はシンセサイザー、キーボード。細かい効果音や短い装飾を随所に差し挟み、ボーカルも重ねていることが多い。バンド編成でありながら、ロックの豪快さ、華やかさ、ヒップホップの押しの強さを忌避している。ポップさを維持し、ミドルテンポやバラードを入れていない。2010年代のサウンドと言える。「パンプト・アップ・キックス」「フーディーニ」収録。
2014年。メンバーがトリオ編成ということにあまり意味がないような、多彩な楽器が使われる。ギター、キーボードが複数同時に鳴っていることが多い。前作よりギターが前に出てきた・若干のノイズを常に含ませていたり、コーラスやギターにやや深めのエコーをかけていたりするのは、2000年代のロックの特徴をよく反映している。ボーカルハーモニーはトーンが高く、前作より力強くなった。自信がみなぎっている。サウンドの編集はしているだろうが、自室でやっているというような内向きのイメージはない。「アー・ユー・ホワット・ユー・ウォント・トゥ・ビー?」「カミング・オブ・エイジ」「ベスト・フレンド」で聞かれる外向きのメロディーは1970年代後半のメロディアスなロックを思わせる。
2018年。ベースが抜け、ギター、キーボードが加入、4人編成。主にボーカル兼キーボードとキーボード奏者が作曲する。3曲目まではシンセサイザーを使ったポップな曲が続く。4曲目以降、ギターを中心とする曲が多くなる。ボーカル兼キーボードとキーボード奏者が2人で共作している曲はアルバムの後半に固められている。1曲目、2曲目の途中で切れるような終わり方、3曲目の余韻を残すような終わり方は、1曲目から3曲目までが一つの固まりだという意図が読み取れなくもない。「ロータス・イーター」はストロークス風。「ロイヤル・ライク・シド・アンド・ナンシー」はエレクトロR&B風。「タイム・トゥ・ゲット・クローサー」と最後の「スリー」がややサイケデリックな曲のため、アルバムの後半がサイケデリックの印象を与えるが、全体を見れば変化に富んだ曲が収録されている。