2004年。北欧のアーティスト14人による民謡風デス・メタル。スウェーデンが6人、ギリシャが3人、イングランドが2人など。多国籍バンドゆえに言語を統一する必要があるのか、タイトルと歌詞が英語だ。これがノルウェーやフィンランドの現地語だとすると、世界的な広がりを獲得することはできない。メンバーが14人いても常に14人が演奏にかかわっているわけではなく、必要に応じて5人程度が演奏している。1曲目は「イントロ」、最後の曲は「アウトロ」で、イントロは「ザ・パイプス・アー・コーリング」となっている。ボーカルはデス声、通常の男声ボーカル、女声ボーカルを使い分ける。管楽器とバイオリンの多いデス・メタルだが、演奏面ではアイデアに乏しく、この状態で人気を獲得するのは難しいと思われる。
2006年。ブックレットには26人写っており、楽器ごとではなく出身国ごとにメンバー表記されている。曲ごとに演奏者が書かれており、最高でも9人。オープニング曲は4分半、エンディングは3分半のインスト曲で、同じメロディー。2曲目から15曲目までが通常の曲になる。前作の路線。72分を通して聞くのは根気が必要。たくさん人数がいれば質がよくなるかといえば、そうとも言えないことを示すアルバムになっている。各メンバーは、フォークアースとは別のバンドやソロで活動しているが、突出した知名度を持つ人がいない。知名度の高さも人数もアルバムの質とは直接関係はないだろう。しかし、大きな関連があると解釈するのも間違いではない。
2007年。作詞や作曲を含めて30人に増えた。メロディアスになり、デス声は減っている。民謡調のサウンドを多くすれば評価は上がるだろうが、ヘビーメタルからは離れたサウンドになり、ヘビーメタルの一部として扱われるかどうか分からなくなってくる。ヘビーメタル的価値観である「勇壮、荘厳、壮大」などを求めると、他の同系統アーティストには追いつけない。ヘビーメタルに限らず、民謡調サウンドはロックの流行の一つであるため、ジャンルにこだわらないサウンドでも失敗のリスクは少ない。女声ボーカル、バンドサウンド、民族楽器のいずれもが雰囲気を出すレベルにとどまっており、いまだ「多国籍で人数が多い」ことが売りになっているのも苦しい。サウンドの質を底上げすることがヒットにつながる。このアルバムで日本デビュー。