1974年。ボーカルが4人いる8人編成のバンド。このうち、作曲はボーカルのジョン・カーター、メインボーカルはトニー・バロウズ。ビーチ・ボーイズとドゥー・ワップを足したようなコーラスで、演奏はストリングスとホーン・セクションを使っている。したがってロックバンドという雰囲気は薄いが、ポップスとしては70年代随一だ。「ビーチ・ベイビー」は世界的にヒット。終始厚いコーラスで、ほとんどの部分でバック・コーラスがついている。曲間にはラジオを模した効果音が入っている。「ディスコ・キッド」収録。
1976年。前半は前作と同路線。後半はアコースティックギターを使うシンガー・ソングライターのような曲が多くなる。「ビーチ・ベイビー」のような曲調は当時としては懐古的で、特に60年代後半の変革期以前のサウンドは軽薄と見られても仕方がない。それを払拭しようとする努力は認められる。
1993年。ファースト・クラスの2枚のアルバムを1枚のCDに収録。
1993年。ベスト盤。2枚のアルバムの22曲から14曲を選曲。
2001年。ファースト・クラス、フラワーポット・メン、アイヴィー・リーグ等の中心人物だったジョン・カーターの作品集。概ね年代順に収録されている。21曲のうち初CD化が8曲、未発表曲が2曲。カーター・ルイス&ザ・サザナーズの「スキニー・ミニー」はジミー・ペイジがギターを弾いているという。スイート・チャリオットの「ヘヴンリー・ロード」はソウル。マジックの「オー、カリフォルニア」は「ビーチ・ベイビー」に似ている。
2001年。ファースト・クラス関連の1972年から85年までの未発表曲を含む企画盤。20曲のうち未発表は9曲。未発表曲は「ビーチ・ベイビー」のイメージとはやや異なる曲も含まれている。バンドとしてはビーチ・ボーイズのようなイメージから脱却したかったのかもしれない。
2003年。ファースト・クラスの中心人物であるジョン・カーターの作品集。2枚組。概ね年代順に55曲並んでいる。初期はビートルズの影響が濃い。アイヴィー・リーグの曲は質が高い。レコード化された曲はポップな曲ばかりだが、フラワー・ムーブメントに入るとビートを後退させた浮遊感のある曲が増えてくる。日本盤の解説は浅田洋。
1969年。サイケデリック・ムーブメントが世界中で巻き起こっていた1967年に、「花咲くサンフランシスコ」をイギリスで大ヒットさせたフラワーポット・メンが録音したアルバム。中心はジョン・カーターとキーボードのケン・ルイス。このアルバムではまだサイケデリックの雰囲気を残している。「ミソロジカル・サンデイ」など、曲によってはメロトロンやハープシコードを使ったプログレッシブ・ロック。「カラーズ」はフォーク。「ホワイト・ダヴ」はアイヴィー・リーグの「ファニー」を遅くしたような曲。ボーカルはジョン・カーター、ケン・ルイスを含む3人にクレジットされている。
1970年。キーボードがオルガン、メロトロンからシンセサイザーになり、曲もバラエティーに富んでいる。フォークロック、サイケデリックロックのほか、末期のビートルズにも影響を受けているだろう。「ブルース」はアコースティックギターによるブルース。ジョン・カーターはリード・ボーカルとなり、2人がバック・ボーカルになった。アメリカ西海岸の音楽の変化を忠実に踏まえているのはこのグループぐらいだろう。「チルドレン・オブ・トゥモロウ」はすばらしい。
1994年。「花咲くサンフランシスコ」をはじめとするフラワーポット・メンの企画盤。シングル曲やアルバムからの抜粋で構成。21曲のうち、最初の10曲はイギリスで発売されたシングル盤の収録曲で、アルバム未収録曲が多い。曲調は「花咲くサンフランシスコ」と「イン・ア・モーメント・オブ・マッドネス」のタイプに分かれる。「スイート・ベイビー・ジェーン」はマウンテンの曲に似ている。「シリコン・シティ」など、ファースト・クラスに通じる曲も多い。「チルドレン・オブ・トゥモロウ」はアルバム・バージョンより長い。